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お勧め参考書
 

Flash ActionScriptに関する参考書で、購入を検討する価値があると思う書籍のご紹介です。すべて野中が実際に購入したものですが、必ずしも読破した訳ではありません。その点は、ご了承ください。なお、書籍のサムネールまたはタイトルをクリックすると、amazon.co.jpの情報が開きます。

Keith Peters『AdvancED ActionScript 3.0 Animation』(O'REILLY)/¥3,406

Keith Peters氏による前著『Foundation ActionScript 3 Animation: Making Things Move!』(邦訳『ActionScript 3.0アニメーション』)の応用編です。

前半のChapter 1から6は、高度な衝突判定に始まり、ステアリング操作、3次元シミュレーション、パス探索、カメラとマイクの入力、数値積分法といった個別のテーマにもとづき、その考え方を要領よくまとめてあります。

後半のChapter 7から10は、おもにFlash Player 10で備わった新機能の解説です。3次元空間の操作や描画API、Pixel Bender、Tweenエンジンなどが採上げられています。

    INDEX
  1. Advanced Collision Detection
  2. Steering Behaviors
  3. Isometric Projection
  4. Pathfinding
  5. Alternate Input: The Camera and Microphone
  6. Advanced Physics: Numerical Integration
  7. 3D in Flash 10
  8. Flash 10 Drawing API
  9. Pixel Bender
  10. Tween Engines

前著のような段階を踏んだ基本説明というより、アラカルト的にテーマが設けられていますので、興味のある章から読み進めることができます。また、必要に応じて、取捨選択してよいでしょう。

なお、『詳解 ActionScript 3.0 アニメーション』として、日本語訳が発売されています。

吉岡 梅『標準ActionScript 3.0入門』(ソフトバンククリエイティブ)/¥3,444

ActionScript 3.0をプログラミング言語として初めて学ぶ初心者に向けた文法の入門書です。変数、式と演算子、関数、イベントの処理といった基礎的な項目から、クラスの定義と継承、インターフェイスなどの中級の概念まで、イラストやたとえを使ってやさしく説明しています。

ただ、注意しなければならないのは、文法の解説を主眼とした書籍だということです。具体的なFlashコンテンツを作成するのは、最後のChapter 10のみです。あとは、動作を[出力]パネルに表示されたテキストなどで確かめています。わかりやすい反面、その処理をFlashムービーにをどう活かすかは、自分で考えなければなりません。

もっとも、これは文法書としての役割に徹した結果といえます。その知識の活用は、また他の書籍やサンプルで補えばよいことでしょう。ページ数は650ページに及びますが、判型は小さくイラストも多いので、見かけよりはずっと読み進めやすいと思われます。

Rich Shupe/Zevan Rosser『初めてのActionScript 3.0Flashユーザーのためのステップアップガイド』(O'REILLY)/¥3,570

ActionScript 3.0の初心者に向けた入門書です。いきなりクラスを定義するのでなく、Flashムービーのタイムラインのフレームにスクリプト(フレームアクション)を記述するところからスタートします。そのため、スクリプトにまだあまり慣れていないFlashユーザーも、気軽に試して結果を確かめることができます。

また章立ても、まずActionScript 3.0で重要なイベントやインスタンスの階層構造(表示リスト)について説明してから、クラス定義などのオブジェクト指向プログラミングの考え方を要領よく解説しています。

そのうえで、数学や物理の規則を使ったアニメーションから、スクリプトによる描画、テキストの扱い、サウンドやビデオの制御、データの処理までおもな項目をバランスよく採上げ、さらにデザインパターンにまで触れます。

450ページほどのボリュームに、初心者が中級にステップアップするために必要な解説を適切に収めています。また、O'REILLYの書籍としてはめずらしく、紙面はフルカラーです。もっともその割りに、O'REILLY特有で図版が少なめなままのは、少々もったいない気がしないでもありません。

ひとつ注意すべきことは、ActionScript 3.0の文法的な解説が最初(第2章)にまとめられている点です。条件判定や繰返し(ループ)処理、配列、関数、そしてオブジェクトといった説明が一気になされます。プログラミング経験のないデザイナーですと、ここでくじけてしまうかもしれません。

簡単なスクリプトやプログラムを書いたことがあるユーザーには、安心してお勧めできる内容です。なお、翻訳は『ActionScript 3.0 アニメーション』を手がけた永井勝則氏がされています。

Keith Peters『ActionScript 3.0アニメーション』(ボーンデジタル)/¥7,350

数学や物理の原理を使ったActionScriptによるアニメーションの解説書です。高校の文系までの知識をおおむね備えた人が、数学や物理の基礎とスクリプティングを理解するのに適しています。

Flash MXにおけるRobert Penner著『Robert Penner's Programming Macromedia Flash MX』がActionScriptを解説する中で数学・物理に触れていたのに対して、本書は運動や空間などの方程式を使ったスクリプトが主題になっています。その意味では、読者はある程度絞られるでしょう。しかし、ターゲットとなる読者には、文句なしにお勧めできます。

訳者の永井氏は、翻訳とActionScriptの双方に通じておられるので、邦訳についても問題は感じられません。

あえて残念な点を挙げれば、そのタイトルでしょう。原題が"Foundation ActionScript 3 Animation: Making Things Move!"であるのでやむを得ない気はするものの、ターゲットの読者層にアピールできるかには疑問が残ります。副題の「数学・物理の基本理論」はメインタイトルに含めるべきだったように思われます。

大重 美幸『Adobe Flash CS4 詳細!ActionScript 3.0入門ノート[完全改訂版]』(ソーテック社)/¥3,675

定評のあった前著2冊『Adobe Flash CS3 詳細!ActionScript3.0入門ノート』『Adobe Flash CS3 詳細!ActionScript3.0入門ノート2』をもとに書下ろされた、Flash CS4向けのActionScript 3.0の解説書です。ActionScript 2.0あるいは他のオブジェクト指向プログラミング言語の基本を理解した人が、ActionScript 3.0の基礎からクラス定義まで学ぼうとする際に最適です[*1]

フレームアクションから始めることにより初心者に対する入り口のハードルを下げつつ、全体のレベルは高く保たれています。2冊の前著に加えてCS4の新機能を1冊約500ページに収めたため、解説の項目数は減っているものの、取捨選択のバランスがよく考慮されています。そのため逆に、ActionScript 3.0の概観を素早くつかめるという利点にもつながります。

なお、スクリプト自体にまだあまり馴染みがなかったり、ActionScript 1.0までの知識しかないユーザーは、別途ヘルプや入門書により基礎知識を備えておく必要があります。

[*1] 著者のblogに、正誤表が掲載されています。


大重 美幸『Adobe Flash CS3 詳細!ActionScript3.0入門ノート』(ソーテック社)/¥3,990

ActionScript 2.0、またはJavaなどのオブジェクト指向プログラミング言語の基本を理解した人が、ActionScript 3.0の基礎とクラス定義の実例について学ぼうとする際に最適の解説書でしょう[*1]

前半は、ActionScript 3.0の文法の基礎から、クラス定義とイベントの扱いまでが要領よくまとめられています。後半は、クラス定義を用いた、ムービーの実例が紹介されます。

500ページ近い書籍とはいえ、ActionScript 3.0全体のボリュームからいえば、採上げられている分野(クラス)はその一部にすぎません。しかし、本書から得られた知識をもとに、リファレンスを調べ、スクリプトを作成する力は十分に養えると思います。

前述のとおり、スクリプト自体にまだあまり馴染みがなかったり、ActionScript 1.0までの知識しかないユーザーには、本書はハードルが高いといえます。そうした人は、別途ヘルプや入門書[*2]により、基礎知識を備えておく必要があります。

[*1] 著者のblogに、「正誤データ」が掲載されています。

[*2] ActionScript 3.0の入門書としては、拙著『ActionScript 3.0プロフェッショナルガイド』や前掲『初めてのActionScript 3.0Flashユーザーのためのステップアップガイド』が挙げられます。


Colin Moock『詳説ActionScript 3.0』(O'REILLY)/¥6,090

ActionScript 2.0またはJavaなどのオブジェクト指向プログラミング言語の基礎を学んだ方に、プログラミング言語としてのActionScript 3.0を基本から実践的な応用まで詳しく解説しています。

本文は3部から成ります。第1部では、ActionScript 3.0について、オブジェクト指向プログラミングの考え方と構文・文法を解説します。第2部は、ステージ上に表示するインスタンスの操作やインタラクティブなイベントの扱いです。そして第3部が、ActionScriptの応用トピックになります。

全体で1,000ページに及び、現在世界で出版されているActionScript 3.0についての解説書としては、もっとも詳細で優れた内容といえます。ActionScript 3.0を初めから本書で詳しく学ぶという読み方だけでなく、他の入門書を終えてから興味のある項目・テーマについて深く掘り下げることもできます。


布留川 英一『ActionScript 3.0ゲームプログラミングブック』(毎日コミュニケーションズ)/¥2,835

Flex 2を用いたActionScript 3.0のプログラミング解説書です。しかし、ActionScriptの文法についての説明が中心ですので、Flashでのスクリプティングにも基本的に活用できます。

「ゲームプログラミング」と題されていますが、全7章のうち第6章までは、ActionScript 3.0を使ったSWFムービーの基本的な制御の仕方が、サンプルスクリプトとともに解説されています。そして、最後の第7章で、それらの処理を応用したゲームを作成するという構成になっています。ですから、ゲームづくりをしながらActionScript 3.0を学ぶというスタイルの書籍ではありません。

Flex 2が開発者向けのツールということもあり、プログラミングの基礎知識は前提とされます。ActionScript 1.0や2.0をすでに使っている人や、他言語の経験をもった開発者が、ActionScript 3.0の概要を知るという目的に適した書籍だといえます。

著者はJavaの開発経験をおもちなので、Javaスタイルのプログラミングについても伺い知ることができるでしょう。反面、Flashの機能・仕様について、誤解や調査不足がときおり見られます[*1]

[*1] たとえば、ActionScript 3.0ではJavaと異なり、switchステートメントに指定する式には特段の制限はなく、「int型、uint型、Number型のいずれかである必要」がある(p.067)としているのは誤りです(Javaでは式は整数と評価される必要があります)。

また、「TextFieldオブジェクトのtextプロパティが再指定した時、書式が初期化」される(p.088)というのも正確ではありません。これはTextField.setTextFormat()メソッドが、設定済みのテキストに対するフォーマットを指定するためです。新たに追加するテキストに適用する書式は、TextField.defaultTextFormat()メソッドで設定する必要があります。


馬場 ぎんが『ActionScript 3.0ポケットリファレンス』(技術評論社)/¥2,604

定評のある『ポケットリファレンス』のActionScript 3.0版です。Flash Player 9/Flash CS3に対応しています。

これまでと同じく、よく使われるクラスをバランスよく選択して、500ページ足らずのコンパクトな本にわかりやすく解説しています。類書と異なり、単独著者による執筆のため、説明の仕方が統一されていることも利点です。

基本的なクラスについて、図や表も交えて詳しく解説されています。かぎられた紙幅の中で、Flashのオンラインヘルプには書かれていない情報や、誤解されやすい点などにも触れています。初心者はもとより、中級者まで幅広く利用できるリファレンスといえるでしょう。

実例で学ぶゲーム3D数学

Fletcher Dunn/Ian Parberry『実例で学ぶゲーム3D数学』(オライリージャパン)/¥3,570

3次元座標変換を主題として、ベクトルや行列についての数学的な解説をしています。ActionScriptを使っていてベクトルや行列を学ぼうとする大きな動機のひとつが3次元座標空間の扱いでしょうから、そういう人にはとくに適した書籍といえます。

本書は、高校文系程度の知識を前提として、ベクトルと行列を使った座標変換について幾何学的に詳しく説明します。数式はもちろん少なくないものの、図が多く用いられているので、具体的なイメージを頭に描きやすいでしょう。サンプルプログラムは、C++で記述されています。

注意しなければならないのは、座標変換がActionScriptとは逆の[行ベクトル]×[変換行列]で定義されていることです。そのため、たとえば回転行列の成分を確かめるときも、行列を転置する必要があります[*1]

[*1] Wikipedia「転置行列」および「OpenGL / DirectXにおける3D基礎概念の対比」のB.「行ベクトル・列ベクトルと、それに起因する違い」をご参照ください。

プログラミングのための線形代数

平岡 和幸/堀 玄『プログラミングのための線形代数』(オーム社)/¥3,150

プログラマ向けに、ベクトルや行列などの線形代数を解説した好著です。抽象的な定義からでなく、幾何学的なイメージをわかりやすく説明しています。しかも、こうした書にありがちな単なる計算方法を羅列するのでなく、概念の理解に重きがおかれています。

もっとも、ActionScriptでは、ベクトル・行列の基本計算と逆行列くらいまでの知識でほぼこと足ります。連立一次方程式やLU分解、固有値といった項については、興味と必要に応じて読むとよいでしょう。また、3次元空間の扱いが主眼ではないため、外積の解説は省かれていたりします。

以上のような若干の注意点はあるものの、ベクトルや行列の数学・幾何学的な意味がイメージとしてよく捉えられます。高校文系の数学までの基礎知識が必要です。

ゲーム開発のための数学・物理学入門

Wendy Stahler『ゲーム開発のための数学・物理学入門』(ソフトバンククリエイティブ)/¥2,940

高校までの数学・物理を、とくにプログラミングで使われる分野について、手っ取り早く復習するのに適しています。400ページを超える本ですが、かみくだいた解説ですので、すらすらと読むことができます。

ただ、数学的な厳密性が少し足りないため、応用力を養ううえでは不安が残ります。理論的な理解より、公式などの基礎知識をかぎられた時間で習得するという目的で書かれた書籍でしょう。

後掲『CGのための線形代数』などを読む前に、その前提となる知識を得ることができます。サンプルプログラムはC++で書かれていますが、数学や物理の理解には、とくに差し障りはないと思われます。

CGのための線形代数

郡山 彬/原 正雄/峯崎 俊哉『CGのための線形代数』(森北出版)/¥2,310

コンピュータグラフィックス(CG)の処理に用いられるベクトルや行列といった線形代数について、コンパクトにまとめられています。CGへの応用が念頭に置かれているため、抽象的な代数学的側面より、図形的に表される幾何学的な側面にスポットを当てて解説されています。

三角関数やベクトルと行列など基本的な概念に触れたうえで、座標系の扱いから、2次元・3次元空間におけるベクトルと行列、透視投影行列までを116ページに収めています。ただし、高校の数学までの基礎知識は必要となるでしょう。

なお、森北出版の書籍情報参照。


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