○03-01 Dateクラスを使って時刻を調べる
前章「スクリプトによるアニメーション」では、クリックで秒針が動き出すストップウォッチ風のアニメーションを作成しました。本章では時分秒の針で時刻を示し、さらに日付も表示するアナログ風の時計をつくってみましょう。
●Dateクラスのインスタンスをつくる
時刻や日付の情報を処理するには、Dateクラスを使います。そこでまず初めにやるべきことは、Dateクラスのインスタンスをつくることです。
ムービークリップインスタンスのプロパティ(たとえば、x/yやrotation)は、インスタンスをターゲットにして値の取得や設定を行う必要がありました。メソッド(たとえば、gotoAndPlay()についてTips 02-005「前のフレームに戻る」参照)を呼出す際にも、やはりインスタンスを参照します。
つまり、ムービークリップインスタンスを操作するには、そのインスタンスをターゲットとして、プロパティやメソッドにアクセスしました。Dateクラスを使って処理する場合にも、まずDateクラスのインスタンスが作成されていなければならないのです。ムービークリップインスタンスは、[ツール]パネルやメニューを使って、インスタンスをつくることができました。Dateクラスの場合には、インスタンスの作成はActionScriptで行う必要があります。
クラスのインスタンスは、つぎのようにnew演算子を使って、クラス名と同じ名前の特別なメソッドである「コンストラクタ」を呼出して作成します。引数はクラスに不要なこともあれば、オプションとされる場合もあります(角括弧[]は、ヘルプやリファレンスではオプションであることを示します。また、引数はクラスによっては、複数指定できることもあります)。
new クラス名([引数0, 引数1, ..., 引数n]);
Dateクラスでは、つぎの構文でインスタンスが作成できます。
new Date();
もっとも、このステートメントでは、インスタンスが作成できても、それを使うことができません。なぜなら、インスタンスがメモリに残らないので、ターゲットに指定することができないからです。丁度つぎのステートメントと同じです。
1;
文法的な誤りはなく、エラーにもなりません。しかし、この数値1は変数などのメモリに保持されませんので、後のステートメントで使いたくても、使いようがないのです。クラスのインスタンスも、それを参照してプロパティやメソッドにアクセスするには、何らかのメモリに格納する必要があります。メモリの代表は、変数です。したがって、クラスのインスタンスは、通常つぎのように作成します。
var 変数:クラス = new クラス名([引数0, 引数1, ..., 引数n]);
Word 03-001■コンストラクタ
「コンストラクタ」とは、クラスに定められたインスタンスを生成するために呼出す、特別な関数(メソッド)です。コンストラクタの名前は、クラスと同じです。インスタンスを生成するには、そのための演算子newと組合わせて、コンストタラクタをつぎのように呼出します。
var 変数:クラス = new クラス名([引数0, 引数1, ..., 引数n]);
インスタンスを格納する変数は、クラスをそのままデータ型として指定します。コンストラクタに渡す引数の有無とその数は、インスタンスを生成するクラスによって異なります。
[*筆者用参考] IT用語辞典バイナリ「コンストラクター」、e-Words「コンストラクタ」、Wikipedia「コンストラクタ」、アスキーデジタル用語辞典「コンストラクタ」
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クラスのインスタンスは、「new クラス名()」でつくる。
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Maniac! 03-001■コンストラクタメソッドとコンストラクタ関数
コンストラクタは、インスタンスを生成するためのクラスの特別な関数です。そして、クラスに定義された関数はメソッドと呼びます。したがって、「コンストラクタメソッド」と呼ばれることもあります。広い意味では関数つまりfunctionですので、「コンストラクタ関数」と読んでも差支えはありません。
[ヘルプ]の[ActionScript 3.0のプログラミング]でも、「コンストラクタメソッドは、単にコンストラクタと呼ばれることもあり、定義されたクラスと同じ名前を共有する関数です」と説明しつつ、サンプルスクリプトの変数についてその「初期値は、コンストラクタ関数内で設定します」と述べています([ActionScriptのオブジェクト指向プログラミング] > [クラス ] > [メソッド])。
しかし、ActionScript 1.0にはclassキーワードが備わっておらず、タイムラインに記述した関数(function)を使ってクラスの機能を実現しました。[ActionScript 3.0 のプログラミング]には、「ActionScript 1.0では、たとえば、classキーワードが存在しなかったので、"クラス" はコンストラクタ関数で定義されました」([ActionScript言語とシンタックス] > [関数])と説明されています。また、「ActionScript 1.0でクラスを作成するには、クラスのコンストラクタ関数を定義します」([ActionScriptのオブジェクト指向プログラミング] > [高度なトピック])というのも、タイムラインに記述する関数を指します。これらのコンストラクタ関数は、したがって狭義の関数を意味します。
ActionScript 2.0では、コンストラクタは[ActionScript 2.0の学習]の[コンストラクタ関数について]という項([関数とメソッド] > [関数とメソッドについて] > [メソッドと関数の種類について])で解説されています。ActionScript 2.0には、classキーワードが実装されました。しかし、内部的には1.0と同じクラスの仕組みを使っていますので、コンストラクタがメソッドか関数か判断は微妙でしょう。
いずれにしても、ヘルプでもコンストラクタメソッドとコンストラクタ関数を、それほど厳密に使い分けている訳ではなく、神経質になる必要はないと考えられます。
[*筆者用参考] mizilla developer center「クラスベース言語とプロトタイプベース言語」、「階層の作成」。
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Dateクラスのインスタンスを格納する変数として、接尾辞_dateを使ってmy_dateと定めた場合、インスタンスを作成するステートメントはつぎのようになります。
var my_date:Date = new Date();
以下のサンプルスクリプト03-001は、Dateクラスのインスタンスを作成し、その作成時の日時の情報をtrace()関数により[出力]パネルに表示します。
スクリプト03-001■Dateクラスのインスタンスを作成してtrace()関数で[出力]するフレームアクション
// フレームアクション
var my_date:Date = new Date();
trace(my_date);
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new演算子に続けてDateクラスのコンストラクタを引数なしで呼出すと、その作成時の日時情報をもったインスタンスが作成されます。たとえば、上記スクリプト03-001を2007年1月1日午前0時丁度に実行すると、[出力]パネルにはつぎのように表示されます(図03-001)。
Thu Feb 1 00:00:00 GMT+0900 2007
図03-001■Dateインスタンスを作成してtrace()関数で[出力]した結果
このDateインスタンスが格納された変数をターゲットに(参照)して、Dateクラスのプロパティやメソッドにアクセスすることができます。
Tips 03-002■trace()関数ではインスタンスの文字列表現が[出力]される
"Thu Feb 1 00:00:00 GMT+0900 2007"というかたちで出力された文字列は、Dateインスタンスの実体そのものではありません。Dateインスタンスは、上述のとおり、それを作成したときの日時情報が格納されたデータのかたまりです。
trace()関数の引数にインスタンスを渡すと、クラスによってインスタンスのもつ情報を適切に示す文字列に自動的に変換します。[出力]パネルに表示されるのは、クラスによるインスタンスの文字列表現なのです。
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Maniac! 03-002■trace()関数はインスタンスのtoString()メソッドを呼出す
trace()関数の引数に文字列以外のデータを渡すと、「そのデータ型に関連付けられたtoString()メソッドが呼び出されます」(ヘルプ[ActionScript 3.0コンポーネントリファレンスガイド] > [トップレベル] > [グローバル関数] > [trace()関数])。このtoString()が、インスタンスを文字列表現に変換するメソッドなのです。
ヘルプでDateクラスのtoString()メソッドを引くと、戻り値は文字列で、「Dateオブジェクトのストリング表現」を返すとされています(ヘルプ[ActionScript 3.0コンポーネントリファレンスガイド] > [Date] > [toString()メソッド])。ここでいうオブジェクトは、インスタンスと同じ意味です。
図03-002■[ヘルプ]におけるDateクラスのtoString()メソッドの解説
「戻り値」はStringすなわち文字列で、「Dateオブジェクトのストリング表現」とされている。
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●Dateインスタンスから時刻情報を取得する
Dateインスタンスを使って、日時情報の取得や設定ができます。この日時は、ふたつの基準を指定してアクセスすることが可能です。いわゆる日本時間つまりローカル時と、協定世界時(UTC)です。今回の時計は、ローカル時で作成することにします。
Word 03-002■協定世界時(UTC)
「協定世界時」(UTC: Coordinated Universal Time)とは、全世界で時刻を記録する際に使われる公式な時刻です。
セシウム原子時計が刻む国際原子時をもとに、天文学的に決められる世界時(UT1)との差が1秒未満となるよう、国際協定により取決められています。誤差が0.8秒を超えると、うるう秒を加えて補正されます。
世界各国の標準時は、この協定世界時を基準として定められています。日本標準時(JST)は協定世界時より9時間進んでおり、「+0900(JST)」のように表記することがあります。
「グリニッジ標準時」(GMT)も、一般的にはこの協定世界時と同じ意味合いで使われています。
[*筆者用参考] e-Words「UTC【協定世界時】」。
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Maniac! 03-003■世界時(UT)
「世界時」(UT: Universal Time)は、天体観測により地球の自転を測定して決められる世界共通の時刻系です。グリニッジ標準時(GMT)つまりイギリスのグリニッジを通る経度0度の子午線上での平均太陽時がベースとされ、現代的に定義し直された時刻です。
地球の自転周期は、一定していません。長期的には、海の潮汐運動の影響で、周期は少しずつ長くなっています。また、たとえばスマトラ沖地震では、自転がわずかに早まったともいわれます。
セシウム原子時計が刻む国際原子時に、うるう秒の補正を加えて、世界時との誤差を1秒未満に調整したのが協定世界時(UTC)です。したがって、厳密な意味では、協定世界時はグリニッジ標準時とは異なります。
[*筆者用参考] 「標準時について UTC, JST, TAI, GMT」、「GMTとUTCの違いは何?」。
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Dateインスタンスを使って取得・設定できるおもな時刻のプロパティは、下表03-001のとおりです。
表03-001■Dateインスタンスのおもな時刻のプロパティ
プロパティ |
説明 |
hours |
Dateインスタンスに設定されたローカル時による時刻の時を、0から23までの整数で返します。 |
milliseconds |
Dateインスタンスに設定されたローカル時による時刻のミリ秒を、0から999までの整数で返します。 |
minutes |
Dateインスタンスに設定されたローカル時による時刻の分を、0から59までの整数で返します。 |
seconds |
Dateインスタンスに設定されたローカル時による時刻の秒を、0から59までの整数で返します。 |
Tips 03-003■協定世界時(UTC)の時刻
上表03-001のプロパティ名の後ろにUTCをつけ、hoursUTC、millisecondsUTC、minutesUTC、secondsUTCとすれば、協定世界時(UTC)の時刻を基準にしたプロパティ値にアクセスできます。同じインスタンスを参照して、ローカル時と協定世界時のどちらのプロパティ値を取得・設定することもできます。したがって、ローカル時と協定世界時と、それぞれ別のインスタンスを生成する必要はありません。
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つぎのフレームアクション(スクリプト03-002)は、Dateインスタンスから取出したhoursとminutes、secondsプロパティの値をそれぞれtrace()関数に渡して、インスタンスを作成した時分秒を[出力]パネルに表示します。
スクリプト03-002■Dateクラスのプロパティで時分秒を[出力]するフレームアクション
// フレームアクション
var my_date:Date = new Date();
trace(my_date.hours);
trace(my_date.minutes);
trace(my_date.seconds); |
たとえば、このスクリプト03-002を実行したのが9:30丁度であれば、[出力]パネルにはつぎのように表示されます(図03-003)。
9
30
0
図03-003■[出力]パネルに表示されたDateインスタンスのプロパティ値
Dateインスタンスのhoursとminutes、secondsのプロパティ値が[出力]される。
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ひとつ注意すべきなのは、Dateインスタンスの日時のプロパティ値は、あえて変更しないかぎり、もとの値がずっと保持されるということです。Microsoft ExcelのNOW()関数などとは異なり、時間が経つにしたがって、刻々と時刻の値がアップデートされることはありません。たとえば、Dateインスタンスを9:00丁度に作成して、10分後にminutesプロパティを調べても値は10にはならず、相変わらずインスタンス生成時の値0を示します。
1度つくったDateインスタンスの日時データは、時間が経っても変わらない。
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ですから、これから作成しようとしている時計のように、刻々変わる今現在の時刻を取得するには、そのたびごとに新たなインスタンスを生成する必要があります。ここで、ヘルプのDateクラスについての説明([ActionScript 3.0コンポーネントリファレンスガイド] > [Date])を確認してみます。その冒頭には、つぎのように解説されています(図03-004参照)。
Dateクラスは日時のデータを表します。Dateクラスの1つのインスタンスは特定の一時点を表します。この特定の一時点について、月、日、時、秒などのプロパティを照会および変更できます。Dateクラスを使用すると、世界時(グリニッジ標準時。現在の呼称は世界標準時またはUTC)またはローカル時間を基準にした日付と時刻の値を取得できます。ローカル時間は、FlashPlayerを実行しているオペレーティングシステムに設定されているローカルタイムゾーンによって決定されます。
図03-004■[ヘルプ]におけるDateクラスの解説
「Dateクラスの1つのインスタンスは特定の一時点を表します」とされている。
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Maniac! 03-004■ActionScript 3.0コンポーネントリファレンスガイド
「ActionScript 3.0コンポーネントリファレンスガイド」という名前は、コンポーネントのリファレンスのように響きます。
実際Flash 8の[ヘルプ]には、ActionScript 2.0の解説をした「ActionScript 2.0リファレンスガイド」(ActionScript 2.0 Language Reference)とは別に、コンポーネントについて「コンポーネントリファレンスガイド」(Components Language Reference)が存在しました。
Flash CS3ではこのふたつがまとまって、英語名で"ActionScript 3.0 Language and Components Reference"というリファレンスになりました。したがって、これを日本語名にするなら「ActionScript 3.0(言語)およびコンポーネントリファレンスガイド」とでもすべきだったでしょう。
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Dateクラスのインスタンスが日時のデータをもつことは、もはやご説明の必要はないでしょう。「1つのインスタンスは特定の一時点」を示すというのは、前述のとおり、ひとたび作成したインスタンスの日時データつまりプロパティ値は、時間が経ってもその値のまま保持されることを意味します。アクセスする日時の基準として、UTC(協定世界時)とローカル時が選べることも、すでに解説しました。ローカル時のタイムゾーンは、オペレーティングシステム(OS)の設定によって決まります。Flash Playerは日時をOSから取得しているので、これは当然でしょう。
ヘルプの見方や読み方を理解することは、スクリプティングが上達するうえで大切です。語学の学習と同じで、辞書やリファレンスをこまめに引くことで、その言語の理解が深まるからです。ですから、本書では適宜リファレンスを始めとするヘルプやFlashのドキュメントを引用し、必要に応じてその読み方を解説します。
○03-02 クラスとインスタンス
ここで、「クラス」と「インスタンス」という用語について、簡単にそれらの意味をご説明しておきましょう。もっとも、この段階では、大まかなイメージがつかめれば構いません。後の章で自作のクラスを定義する段階になれば、具体的な意義は明らかになります。
まず、「クラス」は、関連するプロパティとメソッドの定義を、ひとつにまとめたものです。実際[ヘルプ]の[ActionScript 3.0コンポーネントリファレンスガイド]を見ると、各クラスのプロパティとメソッドが解説されています。たとえば、[MovieClipクラス]の中の見出しは、特別なメソッドである[コンストラクタ]と、[メソッド]および[プロパティ]に分類されています(図03-005)。
[*筆者用参考] Wikipedia「クラス (コンピュータ)」、IT用語辞典バイナリ「クラス」、e-Words「クラス」。
図03-005■[ヘルプ]におけるMovieClipクラスの解説
[コンストラクタ]と[メソッド]および[プロパティ]が定義されている。
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つぎに、クラスをひな形としてつくられ、プロパティやメソッドで操作するターゲットとなるのが「インスタンス」です。ActionScriptその他のプログラミング言語では、原則としてクラスからインスタンスを作成し、そのインスタンスを参照してプロパティやメソッドにアクセスします。
Tips 03-004■静的プロパティ・メソッド
インスタンスをつくることなく、クラスを直接参照してアクセスするプロパティやメソッドもあります。たとえば、前章02-01「関数・メソッドを使う」でご紹介したMath.floor()メソッドがその例です。また、同じくMathクラスの円周率πを表す定数Math.PIも、クラスを参照して取得します。定数というのは、値の変わらない特殊なプロパティです。
trace(Math.floor(2.5)); // 出力: 2
trace(Math.PI); // 出力: 3.141592653589793
このようにインスタンスをつくらず、直接クラスを参照してアクセスするのが、静的(static)プロパティとメソッドです。静的(static)プロパティやメソッドに対しては、クラスはインスタンスと似た役割を果たします。これは、クラスもインスタンスと同様、オブジェクトとしての性質をもつといってもよいでしょう(「オブジェクト」については後述)。
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プログラミングのテキストでは、クラスは「設計図」で、インスタンスが「製品」に当たると例えられたりします。あるいはFlashで、[ライブラリ]の「シンボル」が画面の表示データを定義し、ステージ上にドロップした個々の「インスタンス」が実際にムービー内で動作するという仕組みも、プログラミングのクラスとインスタンスの関係と似ています。
また筆者は、クラスを「レシピ」だとしたら、インスタンスは「料理」だと考えています。レシピ(クラス)は、材料や調理方法を定義したもので、食べられません。レシピ(クラス)の定義にしたがって作成した料理(インスタンス)が、実際に私たちの口にするものです。ひとつのレシピ(クラス)から、料理(インスタンス)はいくつでもつくれます。また、味つけ(プロパティ値)を変えて、個々の料理(インスタンス)にバリエーションを与えることも可能です。
レシピから料理はいくらでもつくれる。料理によって、味つけを変えてもOK。
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クラスやインスタンスに関連する用語に「オブジェクト」があります。このオフジェクとは、さまざまな意味で使われます。まず、インスタンスと同じ意味に用いられることが多いです。たとえば、new演算子でDateコンストラクタを呼出して生成したインスタンスは、Dateオブジェクトと呼ばれることがあります。
つぎに、クラスやインスタンスの備えた性質を論じるとき、オブジェクトという概念的が用いられます。たとえば、クラスを定義し、インスタンスを使って処理を構成する技法が、オブジェクト指向プログラミングとして説明されます。
さらに、オブジェクトはクラスの意味で使われることもあります。実際、Flash MX/ActionScript 1.0のリファレンス(「ActionScript辞書」)では、MovieClipやDateクラスが「MovieClipオブジェクト」「Dateオブジェクト」と表記されていました。
[*筆者用参考] e-Words「オブジェクト」、Wikipedia「オブジェクト(プログラミング)」
Tips 03-005■ActionScriptとECMAScript
ActionScript 1.0の準拠するECMA-262(Column 01「ECMAとECMAScript」参照)が、「クラス」でなく「オブジェクト」という用語を使っています。
ActionScript 2.0および3.0の仕様を定めるECMAScript 4では、classというキーワードが実装され、明示的なクラス定義ができるようになりました。ActionScriptのリファレンスでも、2.0が搭載されたFlash MX 2004から、「クラス」という用語が用いられています。
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実際に「オブジェクト」ということばが出てきたとき、以上のようなさまざまな意味のうちどれに当たるのかは、その文脈から判断するほかありません。しかし、「クラス」と「インスタンス」が理解できれば、自然と違いもわかるようになります。ここまでの段階では、クラスとインスタンスの意味について、大まかなイメージがつかめれば結構です。
ところで、[ムービークリップ]や[ボタン]、[グラフィック]のインスタンスは、[ライブラリ]に格納されたそれぞれのシンボルのインスタンスです(図03-006)。一方ActionScriptのクラスで考えると、[ムービークリップ]はMovieClip、[ボタン]はSimpleButtonクラスのインスタンスです([グラフィック]はスクリプトで制御することはできず、ActionScriptのクラスのインスタンスではありません)。
図03-006■[ライブラリ]のシンボルからインスタンスが作成される
[ライブラリ]からシンボルをステージにドロップしたものがインスタンス
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AS1&2 Note 03-001■SimpleButtonとButtonクラス
ActionScript 2.0では、[ボタン]シンボルのインスタンスとButtonコンポーネントが、それぞれ名前は同じでも異なるButtonクラスで定義されていました(後述Maniac! 03-005「SimpleButtonとButtonクラスの継承」参照)。ActionScript 3.0では、[ボタン]インスタンスは
SimpleButton、ButtonコンポーネントはButtonクラスにより定義されています。
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Maniac! 03-005■SimpleButtonとButtonクラスの継承
ActionScript 3.0のSimpleButtonとButtonクラスそれぞれの継承は、以下のとおりです(「継承」については、後述04-01「マウス座標を調べる」で説明します)。記号「>」は、「サブクラス > スーパークラス」の関係を示します。
SimpleButtonクラス
SimpleButton > InteractiveObject > DisplayObject > EventDispatcher > Object
Buttonクラス
Button > LabelButton > BaseButton > UIComponent > Sprite > DisplayObjectContainer > InteractiveObject > DisplayObject > EventDispatcher > Object
なお、ActionScript 2.0で[ボタン]インスタンスを定義したButtonクラスはトップレベルで、Buttonコンポーネントに設定されたButton(mx.controls.Button)クラスの継承はつぎのとおりでした。
Button > SimpleButton > UIComponent > UIObject > MovieClip > Object
ActionScript 2.0のコンポーネントのButtonクラスが継承するSimpleButtonは、やはりコンポーネントのアーキテクチャに属するクラスで、3.0のSimpleButtonクラスとはまったく別のものです。
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本書ではこの節以降、ActionScriptを論じる観点から、[ムービークリップ]と[ボタン]インスタンスは、それぞれMovieClipおよびSimpleButtonインスタンスと呼ぶことにします。[テキストツール]で作成したダイナミックテキストフィールドまたはテキスト入力フィールドも、同様にTextFieldインスタンスと称します。
Tips 03-006■ダイナミックテキストフィールドとテキスト入力フィールド
ダイナミックテキストフィールドとテキスト入力フィールドは、ともにTextFieldクラスのインスタンスです。両者は、インスタンスのtypeプロパティの値が異なります。
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○03-03 Dateクラスを使った時計の針のアニメーション
それでは、話をDateクラスに戻します。Dateインスタンスのプロパティ(表03-001)を使って、時計の針のアニメーションを作成してみましょう。まずは、秒針からです。
前章02-05「イベントリスナーを使う」以下で学習したとおり、アニメーションの処理は、Event.ENTER_FRAMEイベントに対するリスナー関数を登録して実行します。秒針のMovieClipシンボルのフレームアクションとして、つぎのスクリプトを記述します。
スクリプト03-003■秒針のアニメーションを処理するフレームアクション
// 秒針のMovieClipシンボル
// フレームアクション
addEventListener(Event.ENTER_FRAME, xSetSeconds);
function xSetSeconds(eventObject:Event):void {
var my_date:Date = new Date();
var nSeconds:Number = my_date.seconds;
rotation = nSeconds*6;
}
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Event.ENTER_FRAMEイベントのリスナー関数では、第1に現在時刻を調べるためにDateインスタンスを生成します。第2に、現在時刻の秒の値は、nSecondsプロパティで取得することができます。そして第3に、秒針のMovieClipインスタンスを、1秒あたり6度(=360度/60秒)回転させます。
[ムービープレビュー]を見ると、MovieClipインスタンスが秒を刻みます。もっとも、それが正しくシステム時刻と合っているかどうかは、アニメーションを見ただけでは確かめられません。そこで、Windowsでは[コントロールパネル]の[日付と時刻]、Macintoshは[システム環境設定]の[日付と時刻]を表示して、比較するとよいでしょう(図03-007)。
図03-007■秒針のMovieClipのアニメーションを[日付と時刻]と比較する(Macintosh)
[日付と時刻]のダイアログボックスで時刻の秒の値が合っているかどうか確かめる
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このスクリプト03-003で現在時刻から取得するのをminutesプロパティの値に変更すれば、そのまま分針(長針)のアニメーションになります(スクリプト03-004)。[ムービープレビュー]で、秒針と分針の動きを確認しましょう(図03-008)。
スクリプト03-004■分針のアニメーションを処理するフレームアクション
// 分針のMovieClipシンボル
// フレームアクション
addEventListener(Event.ENTER_FRAME, xSetMinutes);
function xSetMinutes(eventObject:Event):void {
var my_date:Date = new Date();
var nMinutes:Number = my_date.minutes;
rotation = nMinutes*6;
}
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図03-008■分針と秒針のアニメーション
システム時刻の分数に合わせて分針(長針)が回転する。
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時針(短針)も同じ要領で、取得するプロパティをhoursに変更すれば、一応正しい時刻が示されます。ただし、アニメーションがアナログ時計としては、少し不自然です。プロパティsecondsもminutesもhoursも、すべて値は整数です。したがって、秒針は1秒ごと、分針(長針)は1分ごとに値が更新され、それぞれのMovieClipインスタンスが6度(=360度/60)ずつ回転します。
時針(短針)もhoursプロパティを使って秒針や分針(長針)と同じ処理にすると、1時間経つごとに一気に30度(=360度/12)回転してしまうことになります。これではデジタル時計のような値の変化の仕方で、アナログ時計の滑らかなアニメーションになりません。
これを修正するには、minutesプロパティの分数も角度に加えればよいでしょう。1時間で30度回転する訳ですから、1分につき1/2度(30度/60)加えます。したがって、時針(短針)のMovieClipシンボルに設定するフレームアクションはつぎのようになります(スクリプト03-005)。
スクリプト03-005■時針のアニメーションを処理するフレームアクション
// 時針のMovieClipシンボル
// フレームアクション
addEventListener(Event.ENTER_FRAME, xSetHours);
function xSetHours(eventObject:Event):void {
var my_date:Date = new Date();
var nHours:Number = my_date.hours;
var nMinutes:Number = my_date.minutes;
rotation = nHours*30+nMinutes/2;
}
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hoursブロパティから取得した時数の値に対する30度ずつの回転に、minutesプロパティの分数値を調べて1分当たり1/2度を加えています。これでアナログ時計の針は、すべてできあがりました。[ムービープレビュー]で、動作を確認してみましょう。
図03-009■時計のアニメーション
○03-04 Dateクラスで日付を調べる
前述03-01「Dateクラスを使って時刻を調べる」でも確認したとおり、Dateインスタンスは日付の情報ももっています。たとえば、Dateクラスのコンストラクタを引数なしに呼出してインスタンスを作成(new Date())し、trace()関数でそのインスタンスを[出力]したとします(前掲スクリプト03-001)。その処理が2007年1月1日午前0時丁度に行われたとすると、[出力]パネルにはつぎのように表示されます。
Thu Feb 1 00:00:00 GMT+0900 2007
●Dateクラスの日付のプロパティを使う
Dateインスタンスをtrace()関数で[出力]して表示されたのは、ひとかたまりの文字列です。年月日などの日付の値をそれぞれ数値で取得したいときには、時刻の情報のときと同じく、Dateクラスのプロパティを用いてアクセスします(表03-002)。
表03-002■Dateインスタンスのおもな日付のプロパティ
プロパティ |
説明 |
date |
Dateインスタンスに設定されたローカル時による日付の日を、1から31までの整数で返します。 |
day |
Dateインスタンスに設定されたローカル時による日付の曜日を、日曜日の0から始まり、土曜日の6で終わる整数で返します。 |
month |
Dateインスタンスに設定されたローカル時による日付の月を、1月の0から始まり、12月の11で終わる整数で返します。 |
fullYear |
Dateインスタンスに設定されたローカル時による日付の年を、4桁までの整数で返します。 |
つぎのフレームアクションは、DateインスタンスからfullYearとmonth、date、dayプロパティの値を取得して、それぞれをtarce()関数で[出力]します。[出力]パネルには、インスタンスを作成した年月日と曜日の情報が、数値で表示されます。
スクリプト03-006■Dateインスタンスから年月日と曜日の値を[出力]するフレームアクション
// フレームアクション
var my_date:Date = new Date();
trace(my_date.fullYear);
trace(my_date.month);
trace(my_date.date);
trace(my_date.day);
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たとえば、このスクリプト03-006を2007年1月1日に実行したとすると、[出力]パネルにはつぎのように表示されます。
2007
0
1
1
注意しなければならないのは、月のmonthと曜日のdayプロパティが、0から始まる整数値を返すということです。したがって、それぞれ1月が0で、日曜日は0になります。とくに、monthプロパティから何月かを調べるときは、プロパティ値に1を加算しなければなりません。つい忘れたり、間違えたりしがちですので、気をつけましょう。
monthプロパティは1月が0。実際の月に直すとき、1足し忘れないように注意。
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●日付のプロパティ値をフォーマットされた文字列で表す
前節までにつくった時計に、日付も表示してみましょう。2007年1月1日であれば、"2007/1/1"という文字列にして、これをTextFieldインスタンスに設定することにします。まずは、"2007/1/1"といった形式の文字列をつくる必要があります。
Dateインスタンスから取出したfullYearとmonth、dateプロパティの値を、それぞれnYearおよびnMonth、nDateという変数に格納したとします。そこでつぎのような式を記述しても、意味のない数値になるだけです。
nYear/nMonth/nDate
プロパティ値は数値ですし、/は割り算の演算子です。したがって、上記の式は無意味な割り算を実行してしまうのです。
ですから第1に、数値は文字列に変換しなければなりません。数値を文字列に変換するには、String()関数を使います。たとえば、Number型の変数nMyNumberに入っている数値を文字列に変換して、String型の変数my_strに代入するステートメントはつぎのとおりです。
var my_str:String = String(nMyNumber);
そして第2に、文字列と文字列を連結するには、+演算子を用います。年月日の数字の間に挿入するスラッシュ(/)は、文字列ですのでダブルクォーテーション(")で括ります(Word 02-001「文字列」参照)。したがって、今日の日付を"2007/1/1"というフォーマットで[出力]するスクリプトはつぎのようになります(スクリプト03-007)。
スクリプト03-007■日付のフォーマットを指定して[出力]するフレームアクション
// フレームアクション
var my_date:Date = new Date();
var nYear:Number = my_date.fullYear;
var nMonth:Number = my_date.month+1;
var nDate:Number = my_date.date;
var today_str:String = String(nYear)+"/"+String(nMonth)+"/"+String(nDate);
trace(today_str);
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たとえば、このスクリプト03-007を2007年1月1日に実行したとすると、[出力]パネルにはつぎのように表示されます。
2007/1/1
Tips 03-007■toString()メソッド
値を文字列に変換するには、String()関数のほかに、toString()メソッドを使うこともできます。toString()はメソッドですので、文字列に変換したい値を参照(ターゲットに)して呼出します。たとえば、Number型の変数nMyNumberに入っている数値を文字列に変換して、String型の変数my_strに代入するステートメントはつぎのとおりです。
var my_str:String = nMyNumber.toString();
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Maniac! 03-006■toString()メソッドとString()関数
toString()メソッドは、基本的にすべてのクラスに定義されています。数値もNumberあるいはint、uintクラス(Tips 02-015「数値のデータ型」参照)が操作しますので、これらのクラスのtoString()メソッドを呼出すことにより、値を文字列に変換することができます。
String()関数の引数にデータを指定すると、そのインスタンスを作成したクラスあるいはそのデータ型を操作するクラスのtoString()メソッドが呼出されて、String型(文字列)の戻り値が返されます。ですから、String()関数は、受取った文字列をそのまま返すことになります。
ただし、データが、初期化されていないこと示すundefinedや、値がないことを意味するnullの場合には、これらを操作するクラスは存在せず、toString()メソッドも呼出せません。したがって、これらの値を文字列に変換するには、String()関数を用いる必要があります(スクリプト03-008)。
スクリプト03-008■undefinedの値はString()関数で文字列に変換する
// フレームアクション
var myVar; // 初期化されていない変数
// trace(myVar.toString()); // エラー
trace(String(myVar)); // 出力: undefined
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それでは、時計に日付を表示するために、メインタイムラインにTextFieldインスタンスを配置します。TextFieldインスタンスは[テキストツール]で作成し、表示するテキストがスクリプトで設定できるように[テキストの種類]は[ダイナミックテキスト]を選択します。ActionScriptでコントロールするには、TextFieldにもインスタンス名が必要です。接尾辞"_txt"をつけて、"my_txt"としましょう(図03-010)。
図03-010■メインタイムラインにTextFieldインスタンスを配置
[テキストの種類]は[ダイナミックテキスト]を選び、インスタンス名を設定する。
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Tips 03-008■[テキストの種類]
[テキストの種類]には、[静止テキスト]と[ダイナミックテキスト]、[テキスト入力]の3つがあります(図03-011)。
図03-011■[プロパティ]インスペクタの[テキストの種類]
[静止テキスト]と[ダイナミックテキスト]、[テキスト入力]の3つがある。
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[静止テキスト]は、SWF再生(ランタイム)時にスクリプトでコンテンツを操作することができません。[ダイナミックテキスト]は、スクリプトで自由にコンテンツをコントロールできます。ただし、ユーザーが入力することはできません。[テキスト入力]は、コンテンツをスクリプトで操作することも、ユーザーが入力して変更することも可能です(ヘルプ[ActionScript 3.0のプログラミング] > [テキストの操作] > [テキストの操作の基礎]参照)。
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Maniac! 03-007■[テキスト入力]という名称
[静止テキスト]と[ダイナミックテキスト]は「テキスト」の文字が後につくのに、なぜ[テキスト入力]は前にくるのでしょう。実際英語版では、[Static Text]と[Dynamic Text]、そして[Input Text]と"Text"の文字は後ろに置かれています(図03-012)。
図03-012■英語版の[テキストの種類]
[Static Text]と[Dynamic Text]、[Input Text]の3つがある。
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ヘルプでも、たとえば前述Tips 03-008に引用した[テキストの操作の基礎]には、「静止テキストフィールド」「ダイナミックテキストフィールド」「入力テキストフィールド」と記載している箇所があります。関連する用語の統一性および日本語としての意味からも、「入力テキスト」とすべきだったでしょう。ただ、すでに数バージョンにわたって使われている用語ですので、これから変更するのは難しいかもしれません。
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TextFieldインスタンスに表示したいテキスト(文字列)は、textプロパティに設定します。もちろん、設定先のTextFieldインスタンスを、ターゲットとして参照しなければなりません。前掲スクリプト03-007で作成した日付の文字列を、メインタイムラインに置いたTextFieldインスタンスmy_txtに設定して表示しましょう。
まず、メインタイムラインにスクリプト03-007を、フレームアクションとして記述します。そしてつぎに、TextFieldインスタンスmy_txtのtextプロパティに文字列を設定するため、つぎのようにステートメントを1行追加します(スクリプト03-009)。
スクリプト03-009■日付の文字列をTextFieldに設定する
// メインタイムライン
// フレームアクション
var my_date:Date = new Date();
var nYear:Number = my_date.fullYear;
var nMonth:Number = my_date.month+1;
var nDate:Number = my_date.date;
var today_str:String = String(nYear)+"/"+String(nMonth)+"/"+String(nDate);
// trace(today_str);
my_txt.text = today_str; // 追加: TextFieldに文字列を設定
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[ムービープレビュー]で確認すると、TextFieldインスタンスに実行時の日付が表示されます(図03-013)。もっとも、このままでは時計のアニメーション開始時にしか、日付が設定されません。再生したまま午前0時を経過しても、日付は変わらないことになります。この日付の値を更新する処理は、次節で追加します。
図03-013■TextFieldに日付が表示される
日付は時計のアニメーション開始時にしか設定されない。
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Tips 03-009■更新処理の頻度
日付の更新処理は、もちろんEvent.ENTER_FRAMEイベントにリスナー関数を登録して行うことができます。しかし、24時間に1度しか行われない日付の更新に、リスナー関数を1秒間に12回(デフォルトのフレームレート12fpsの場合)も繰返すのは無駄があります。処理の頻度をもっと少なくする方がよいでしょう。
更新頻度を指定する方法として、setInterval()関数を使った処理が考えられます(前章02-04「setInterval()関数を使う」参照)。しかし次節では、新たにTimerクラスを使って処理してみます。
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●Dateインスタンスの日時データを設定・変更する
Dateインスタンスの日時のデータは、コンストラクタ呼出し時に指定したり、インスタンス作成後に値を変更することができます。
まず、インスタンス作成時に日時を指定するには、コンストラクタに引数としてそれらの値を渡します。[ヘルプ]で、[Dateクラス]の[Date()コンストラクタ]を確認してみましょう。シンタックスが、つぎのように示されています。
public function Date(yearOrTimevalue:Object, month:Number, date:Number = 1, hour:Number = 0, minute:Number = 0, second:Number = 0, millisecond:Number = 0)
引数(パラメータ)は最大7つで(図03-014)、すべてオプション、つまり省略が可能です。すべてを省略した場合は、すでに見たように、Dateインスタンスにはコンストラクタ呼出し時の日時が設定されます。
図03-014■[ヘルプ]におけるDate()コンストラクタの解説
シンタックスに「関数」とあるのは、functionのこと。英語の原文を不必要に邦訳したものだ(なお、後述Column 03「LiveDocsオンラインヘルプ」参照)。
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Date()コンストラクタに対する引数の指定の仕方は、その数とデータ型により、4種類のシンタックスがあります。その内容は、下表03-003のとおりです。
表03-003■Date()コンストラクタに対する引数の指定の仕方
引数の数 |
引数のデータ型 |
説明 |
例 |
0 |
- |
現在の日時が設定されます。
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var _date:Date = new Date();
trace(_date);
// 出力: スクリプト実行時の日時
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1 |
Number |
1970年1月1日午前0時丁度から、指定したミリ秒値の経過した日時が設定されます。
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var _date:Date = new Date(0);
trace(_date);
// 出力: Thu Jan 1 09:00:00 GMT+0900 1970
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1 |
String |
文字列が日付を表す有効なフォーマットとして認識されると、その日付が設定されます。
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var _date:Date = new Date("01/02/2007");
trace(_date);
// 出力: Tue Jan 2 00:00:00 GMT+0900 2007
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2〜7 |
Number |
ふたつ以上の数値を指定すると、第1引数から順に、年、月、日、時、分、秒、ミリ秒として、日時が設定されます。
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var _date:Date = new Date(2007, 1, 1, 12);
trace(_date);
// 出力: Thu Feb 1 12:00:00 GMT+0900 2007
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Tips 03-010■Date()コンストラクタに指定する文字列のフォーマット
Date()コンストラクタに文字列ひとつを引数として渡す場合に有効なフォーマットとしては、上記の表03-003の例のほかつぎのようなものが挙げられます。
"Thu Jan 1 00:00:00 GMT+0900 2007"、"Mon Jan 1 2007 00:00:00 AM"、"Mon Jan 1 2007"。
なお、[ヘルプ]の[Date()コンストラクタ]の項には、"02/2005"が例のひとつとして示されています。しかし、この項の説明にも記載されているとおり、「少なくとも月、日、年が含まれている必要があります」。したがって、この例は誤りです(なお、後述Column 03「LiveDocsオンラインヘルプ」参照)。
var _date:Date = new Date("02/2005");
trace(_date); // 出力: Invalid Date
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ここで、[ヘルプ]の[Date()コンストラクタ]のシンタックスの読み方について、2点補足を加えておきます。
第1に、第1引数yearOrTimevalueが、Objectで型指定されていることです。上記の表03-003に示したとおり、第1引数のデータ型はNumber(数値)かString(文字列)です。しかし、ActionScript 3.0の文法上、ふたつのデータ型をひとつの引数に指定することはできません。ところがObject型は、どのようなデータでも受入れることができます。そこで、複数の型のデータを受取る場合には、Objectで型指定されるのです。
第2に、第3引数以降には、型指定の後に代入演算子の=に続けて数値が記載されています。これはデフォルト値を示します。たとえば、つぎのように第1引数と第2引数の年月のみを指定してDate()コンストラクタを呼出した場合、1日の0:00:00の0ミリ秒の日時のインスタンスが作成されます。
var _date:Date = new Date(2007, 0);
trace(_date); // 出力: Mon Jan 1 00:00:00 GMT+0900 2007
つぎに、Dateインスタンスの日時データを、後から変更する場合について考えましょう。Dateインスタンスの日付(表03-002)や時刻(表03-001)を示すプロパティは、値を調べるだけでなく、設定することも可能です。これらのプロパティを使えば、任意の日時のDateインスタンスを作成することができます。
たとえば、今日の0:00:00の0ミリ秒のDateインスタンスを作成するには、つぎのようなフレームアクションを記述します(スクリプト03-010)。
スクリプト03-010■今日の0:00:00のDateインスタンスをつくる
// フレームアクション
var _date:Date = new Date();
_date.hours = 0;
_date.minutes = 0;
_date.seconds = 0;
_date.milliseconds = 0;
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なお、Date()コンストラクタに引数を指定する方法でも、同じ結果を得ることは可能です(スクリプト03-011)。
スクリプト03-011■今日の0:00:00のDateインスタンスをコンストラクタでつくる
// フレームアクション
var now_date:Date = new Date();
var nYear:Number = now_date.fullYear;
var nMonth:Number = now_date.month;
var nDate:Number = now_date.date;
var _date:Date = new Date(nYear, nMonth, nDate);
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Tips 03-011■Dateクラスの日時取得・設定メソッド
Dateインスタンスに対する日時データの取得・設定は、プロパティ以外に、メソッドを使っても行えます。データを取得するメソッドはget、設定するメソッドはsetで始まります(表03-004)。これらのメソッドは、ECMAScript(Column 01「ECMAとECMAScript」参照)に準拠し、ActionScript 2.0/1.0にも備わっています。
表03-004■Dateクラスのおもな日時取得・設定メソッド
プロパティ |
取得メソッド |
設定メソッド |
fullYear |
getFullYear() |
setFullYear() |
month |
getMonth() |
setMonth() |
date |
getDate() |
setDate() |
hours |
getHours() |
setHours() |
minutes |
getMinutes() |
setMinutes() |
seconds |
getSeconds() |
setSeconds() |
milliseconds |
getMilliseconds() |
setMilliseconds() |
たとえば、年を取得/設定するgetFullYear()/setFullYear()メソッドは、つぎのように用いられます。
var _date:Date = new Date(0);
trace(_date.getFullYear()); // 出力: 1970
_date.setFullYear(2007);
trace(_date); // 出力: Mon Jan 1 09:00:00 GMT+0900 2007
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○03-05 Stringクラスで文字列を操作する
前節03-04「Dateクラスで日付を調べる」で行った、文字列の日付をフォーマットする処理(スクリプト03-007)にもう少し手を加えてみましょう。
●年を2桁にする
まず、たとえば"2007"という4桁の西暦を、"07"のように2桁に変更します。文字列の操作は、Stringクラスのプロパティやメソッドを使って行います。今回は、substring()メソッドを使って、指定した範囲の文字を文字列から取出します。4桁の文字列から末尾の2桁を取出すスクリプトは、つぎのとおりです(スクリプト03-012)。
スクリプト03-012■4文字の文字列から末尾の2文字を取出す
// フレームアクション
var year0_str:String = "2007";
var year1_str:String = year0_str.substring(2, 4);
trace(year1_str); // 出力: 07
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さて、2点解説を加えます。第1は、substring()メソッドのターゲットです。メソッドを呼出すには、そのクラスのインスタンスをターゲットとして参照します(03-02「クラスとインスタンス」参照)。ということは、文字列("2007")は、Stringクラスのインスタンスであることを意味します。
クラスのインスタンスは、通常new演算子によりコンストラクタを呼出して作成します。実際、Stringクラスのインスタンスは、設定したい文字列を引数として渡し、コンストラクタを呼出しても生成することができます。つまり、上記スクリプト03-012の第1ステートメントをつぎのように書替えても、同じ処理になります。
var year0_str:String = new String("2007");
文字列(String型)や数値(Number/int/uint型)など一部のクラスでは、コンストラクタを呼出すことなく、値を直接記述してインスタンスを作成することができます。文字列は、設定したい値となるテキストをダブルクォーテーション(")で括ることにより、ステートメント内において文字列の値として認識され、Stringインスタンスが作成されます。また、すでに見てきたように数値は、値をそのままステートメント中に記載します。このように直接記述された値を「リテラル」と呼びます(Word 03-003)。
Word 03-003■リテラル
「リテラル」とは、プログラム(のソースコード)に直接記載される値を示します。変数から値を取出したり、関数(メソッド)の戻り値を受取るのではなく、文字列(String型)や数値(Number/int/uint型)を直接記述する場合がその典型です。
たとえば、つぎの代入式の右辺値は、いずれもリテラルです。
var product_str:String = "Flash CS3 Professional";
var nPlayerVersion:int = 9;
値をリテラルで記述できるデータの例としては、このほか論理(ブーリアン)値(Boolean型)や配列(Array型)、XML(XML型)、Object(Object型)などが挙げられます(なお、ヘルプ[ActionScript 3.0のプログラミング] > [ActionScript言語とシンタックス] > [シンタックス]の「リテラル」の項参照)。
[*筆者用参考] e-Words「リテラル」
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とくに文字列や数値では、コンストラクタを使ってインスタンスを生成する利点は思いつきません。これらの値は、リテラルで記述することが通常です
AS1&2 Note 03-002■文字列とStringインスタンス
ActionScript 2.0/1.0では、文字列は厳密にはStringインスタンスではありません。つまり、文字列そのものは、プロパティやメソッドをもちません。しかし、文字列を参照してプロパティやメソッドにアクセスすると、その文字列に対応したStringクラスのインスタンスが自動的に生成され、文字列をStringインスタンスであるかのように扱う仕組みになっているのです。
文字列に対してプロパティやメソッドを問合せると、ステージママよろしくStringオブジェクトがしゃしゃり出てくるということです。そして、文字列に替わって勝手に仕事をし終わると、また引込みます。ステージに上がるのは、あくまで文字列です。ですから、ActionScript 2.0/1.0でも、通常の処理においては、文字列がStringインスタンスだとみなしてもとくに問題は生じません。
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Maniac! 03-008■ActionScript 3.0と2.0/1.0の文字列とStringインスタンスの扱いの違い
ActionScript 3.0では、文字列はStringクラスのインスタンスとして扱われます。けれど、2.0/1.0でも、文字列はStringインスタンスであるかのように処理できます。したがって、ActionScript 3.0と2.0/1.0とで処理結果が異なることはごくまれです。
具体的に違いが生じるのは、以下のスクリプト03-013のような場合です。このフレームアクションをActionScript 3.0で実行すると、つぎのように[出力]されます。文字列とStringインスタンスとで、結果は異なりません。
string
true
string
true
スクリプト03-013■文字列とStringインスタンスの比較
// フレームアクション
var test0_str:String = "test0";
var test1_str:String = new String("test1");
trace(typeof test0_str);
trace(test0_str instanceof String);
// trace(test0_str is String);
trace(typeof test1_str);
trace(test1_str instanceof String);
// trace(test0_str is String);
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typeof演算子は、その後に指定したデータのタイプを文字列で返します。"string"というのは、文字列と判定されたということです。また、instanceof演算子は、その前に指定したデータが後に指定したクラスのインスタンスであるかどうかを調べ、インスタンスであればtrueを、そうでなければfalseを返します。上記の[出力]結果は、ふたつの変数値がともにStringインスタンスであることを示します。
なお、上記スクリプト03-013を[ムービープレビュー]で実行すると、つぎのようなWarningが[コンパイルエラー]パネルに表示されます。
Warning: 3555: instanceof演算子は使用されなくなりました。代わりにis演算子を使用してください。
ActionScript 3.0でもinstanceof演算子は動作するものの、is演算子を使うことが推奨されています。上記スクリプト03-013でコメントアウトされているis演算子を用いたステートメントでも、instanceof演算子と同じ結果が得られます。ただし、ActionScript 2.0/1.0には、is演算子は備わっていません。
さて、つぎに上記スクリプト03-013を、[パブリッシュ設定]で[ActionScript 2.0]に変更して実行すると、[出力]結果はつぎのように変わります。
string
false
object
true
文字列のデータタイプは"string"と判定されるのに、Stringインスタンスは"object"と示されます。また、文字列はStringクラスのインスタンスとは認識されず(false)、コンストラクタで生成したStringインスタンス(true)とは区別されていることがわかります。しかし、こうした区別が問題になるような処理は、実際上は少ないと思われます。
[*筆者用参考] F-site「Stringはプリミティブ値かオブジェクトか」
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スクリプト03-013でご説明すべき第2は、substring()メソッドの引数の指定です。メソッドのシンタックスはつぎのとおりで、ふたつの数値を引数として渡します。どちらも取出す文字の位置を示し、第1引数startIndexが開始位置、第2引数endIndexが終了位置です。
function substring(startIndex:Number = 0, endIndex:Number = 0x7fffffff):String
そして、気をつけなければならないのは、文字位置の数え方です。まず、第1引数startIndexの開始位置を指定する場合、カウントは0から始まります。そして、第2引数endIndexの終了位置は、ヘルプには「抽出するサブストリングの最後の文字のインデックスに1を加えた整数」と説明されています。この1を加えるというのが、理解しにくいかもしれません。そのような場合は、文字でなく文字の間に仕切をイメージして、それを数えるとよいでしょう。
文字列先頭の文字の左端から、最後の文字の右端まで、文字と文字の間に仕切を置き、0から文字数の値までの連番を振ります。たとえば、前記スクリプト03-012の例とした西暦の"2007"であれば、下図03-015のように先頭の文字の左端を0で始め、仕切に整数の連番を順につけていくと、最後の文字の右端が文字数と同じ4で終わります。取出したいのが最後の"07"であれば、仕切番号2から4の間の文字ですから、このふたつの整数をsubstring()メソッドに引数として指定すればよい訳です。
図03-015■文字の間に仕切を置いて連番を振る
"2007"の最後の"07"であれば、仕切番号2と4の間の文字となる。
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文字でなく、仕切を数えれば簡単!
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文字列に置いた仕切の最後の番号は、文字列の文字数と一致します。文字列の文字数は、Stringクラスのlengthプロパティで取得することができます。したがって、substring()メソッドで取出したい文字が文字列の最後までであれば、第2引数としてlengthプロパティの値を指定すればよいことになります。すると、前記スクリプト03-012の第2ステートメントは、つぎのように書替えることが可能です。
var year1_str:String = year0_str.substring(2, year0_str.length);
さらに、ヘルプでsubstring()メソッドの内容を調べると、第2引数は省略可能であることがわかります。そして、「このパラメータを省略すると、String.lengthが使用され」ると解説されています。String.lengthというのは、Stringクラスのlengthプロパティを意味します。ですから、前記スクリプト03-012の第2ステートメントは、以下のように第2引数を省略してしまうことが可能です(スクリプト03-014)。
スクリプト03-014■文字列の3文字目から末尾までの文字を取出す
// フレームアクション
var year0_str:String = "2007";
var year1_str:String = year0_str.substring(2);
trace(year1_str); // 出力: 07
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なお、ヘルプを始めとするドキュメントでは、クラスのプロパティやメソッドをString.lengthやString.substring()のように、「クラス.プロパティ」あるいは「クラス.メソッド()」のかたちで表記することがあります。
ただし、実際にスクリプトとして記述する際には、Stringクラスのlengthプロパティやsubstring()メソッドはStringインスタンスをターゲットにする必要があります。よって、この表記のまま記述しても動作しません。もっとも、Math.floor()のような静的なメソッドや静的なプロパティは、クラスを直接参照しますので、結果として表記と同じ記述で使われることになります(Tips 03-004「静的プロパティ・メソッド」参照)。
本書でも、以降は適宜この表記を用いることにします。
●月日を2桁に揃える
年を2桁にしたら、月日も2桁に揃えましょう。月日の値が1桁のときは、頭に0を加えることにします。このような処理にも、やり方はいくつか考えられます。ひとつは、値が1桁あるいは10未満であることを条件判定して、0を加える処理を行う方法です。しかし、今回はString.substring()メソッドを応用して、対処してみます。
1桁の数値に100を加えると、3桁の数値になります。たとえば、1は100を足せば101です。1桁目は必ず1、2桁目には0が入り、3桁目がもとの数値です。したがって、この数値を文字列に変換したうえで、下2桁を取出せば、以下のように2桁の"01"にすることができます。この手法の利点は、もとの数値が2桁であっても、処理を変える必要がないことです。つまり、もとの数値が1桁か2桁かを判別せずに処理できます。
var n:Number = 1;
var n_str:String = String(n+100).substring(1);
trace(n_str); // 出力: 01
前に作成した、日付の文字列をTextFieldインスタンスに設定するスクリプト03-009に修正を加えて、日付の年月日をすべて2桁に揃えましょう(スクリプト03-015)。たとえば、2007年1月1日であれば、"07/01/01"という文字列が日付として表示されます。
スクリプト03-015■日付の年月日をすべて2桁でTextFieldに設定する
// メインタイムライン
// フレームアクション
var my_date:Date = new Date();
var nYear:Number = my_date.fullYear;
var nMonth:Number = my_date.month+1;
var nDate:Number = my_date.date;
var year_str:String = String(nYear).substring(2);
var month_str:String = String(nMonth+100).substring(1);
var date_str:String = String(nDate+100).substring(1);
var today_str:String = year_str+"/"+month_str+"/"+date_str;
my_txt.text = today_str;
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この後、日付の設定は最初に1度だけでなく、つねに更新されるようスクリプトに処理を加えていきます。しかしその前に、時計の針と同じように、画面に表示するエレメントであるTextFieldインスタンスと、それを操作するスクリプトを、ひとつのMovieClipシンボルにまとめておきましょう。
まず、メインタイムラインに配置された日付のTextFieldインスタンスmy_txtを、MovieClipシンボルに変換します。そしてつぎに、メインタイムラインの日付表示のフレームアクション(スクリプト03-015)を、MovieClipシンボルの第1フレームアクションに移行します。スクリプトを記述したフレームからTextFieldインスタンスへのターゲットパスは変わりませんので、フレームアクションはメインタイムラインからMovieClipシンボル内にコピー&ペーストするだけで結構です(図03-016)。
図03-016■TextFieldとスクリプトをひとつのMovieClipシンボルにまとめる
TextFieldインスタンスmy_txtをMovieClipシンボルに変換し、日付表示のフレームアクションをシンボル内の第1フレームに移行する。
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[ムービープレビュー]で、日付が変わりなく表示されることを確認しておきましょう(図03-017)。
図03-017■TextFieldとスクリプトはMovieClipシンボルに内包
MovieClipシンボル内のTextFieldインスタンスに日付が表示される。
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●日付の更新処理を加える
日付表示のMovieClipシンボルに設定したフレームアクションに、処理を追加します。日付の設定を最初に1度だけでなく、午前0時を回ったら値が更新されるようにしましょう。
まず、どのような処理方法を採るかです。24時間に1度しか行われない日付の更新を、Event.ENTER_FRAMEイベントにリスナー登録して処理するのは無駄が多いでしょう(Tips 03-009「更新の頻度」参照)。
setInterval()関数を使えば、更新する時間間隔を指定できます。ただ、この関数は、ActionScript 2.0/1.0の同名の関数とほぼ同じ仕様を採用しているため、3.0標準のイベントリスナーの仕組みを取入れていません。手軽に使える反面、応用性や拡張性には乏しいといえます。
そこで、ActionScript 3.0から実装されたTimerクラスを使うことにします。Timerクラスは、addEventListener()メソッドで登録したリスナー関数を、指定した時間間隔で繰返し呼出すことができます。この場合の処理の手順は、つぎのとおりです。
- Timer()コンストラクタでインスタンスを生成する。
- addEventListener()メソッドでTimerEvent.TIMERイベントにリスナー関数を登録する。
- start()メソッドでTimerインスタンスの動作を開始する。
Tips 03-012■setInterval()関数よりTimerクラスの使用を推奨
[ヘルプ]の[setInterval()関数]の項は、setInterval()関数を用いるより、Timerクラスの使用を推奨しています。ただし、その解説に、setInterval()関数を使うと、コンパイラ警告が発生するとあるのは誤りです。使用しても、エラーや警告はとくに生じません。
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MovieClipシンボルのフレームアクションに記述した日付設定の処理は、関数(function)xSetDate()として定義することにします。そして、Timerクラスを使って1秒間隔で日付の更新を行おうとすれば、処理の大枠はつぎのとおりです。
var myTimer:Timer = new Timer(1000); // Timerインスタンスの生成
myTimer.addEventListener(TimerEvent.TIMER, xSetDate); // TimerEvent.TIMERイベントにリスナー関数登録
myTimer.start(); // Timerインスタンスの動作開始
function xSetDate(eventObject:TimerEvent):void { // リスナー関数定義
// ここに日付更新の処理を記述する
}
MovieClipシンボルのフレームアクション(図03-016)として記述した日付設定の処理は、そっくりそのまま日付更新の処理として関数xSetDate()の本体{}内に移行すれば結構です。したがって、フレームアクションはつぎのように修正されます(スクリプト03-016)。
スクリプト03-016■TextFieldに表示する日付を毎秒更新する
// MovieClip: 日付のTextFieldを内包
// フレームアクション
// [1]Timerインスタンスの生成
var myTimer:Timer = new Timer(1000);
// [2]TimerEvent.TIMERイベントにリスナー関数登録
myTimer.addEventListener(TimerEvent.TIMER, xSetDate);
// [3]Timerインスタンスの動作開始
myTimer.start();
// [4]リスナー関数定義
function xSetDate(eventObject:TimerEvent):void {
var my_date:Date = new Date();
var nYear:Number = my_date.fullYear;
var nMonth:Number = my_date.month+1;
var nDate:Number = my_date.date;
var year_str:String = String(nYear).substring(2);
var month_str:String = String(nMonth+100).substring(1);
var date_str:String = String(nDate+100).substring(1);
var today_str:String = year_str+"/"+month_str+"/"+date_str;
my_txt.text = today_str;
trace(today_str); // 確認用
}
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[1]Timerインスタンスの生成については、Timer()コンストラクタのシンタックスを確認しておきましょう。
public function Timer(delay:Number, repeatCount:int = 0)
第1引数のdelayには、イベントの発生間隔をミリ秒値で指定します。1000を指定すれば、TimerEvent.TIMERイベントに登録したリスナー関数を、1秒(=1000ミリ秒)ごとに呼出すことになります。
第2引数のrepeatCountは、イベントが繰返し発生する回数を整数で指定します。たとえば、3と指定すると、リスナー関数を3回呼出したら、イベントの発生は停止します。繰返し回数を無制限にしたいときは、0を指定します。第2引数を省略すれば、デフォルト値として0が設定されます。
[2]Timerインスタンスによる繰返し処理のイベントにリスナーを登録するには、addEventListener()メソッドの第1引数としてTimerEvent.TIMERイベントを指定します。
[3]Timerインスタンスの繰返し処理は、開始時期を任意に決められる仕様になっています。そのため、処理を開始するには、Timer.start()メソッドを呼出す必要があるのです。
これで、日付表示も含めて、時計がひととおり完成しました。[ムービープレビュー]で、動作を確認してみましょう。
Tips 03-013■Timerインスタンスの動作開始時にリスナー関数を呼出す
上記スクリプト03-016を実行すると、日付が表示されるまでに、1秒の間が空きます。Timer.start()メソッドを実行しても、リスナー関数は直ちには呼出されず、指定時間の1000ミリ秒が経過しないと最初のイベントが発生しないからです。
しかし、フレームアクションの処理が行われたとき、直ちに日付を表示したいという場合には、リスナー関数を直接呼出せばよいでしょう。つまり、スクリプト03-016の最後で構いませんので、以下のステートメントを1行追加します。
xSetDate(null);
注意すべきなのは、関数xSetDate()の呼出しに、引数nullを渡していることです。関数xSetDate()には、引数がひとつ定義されています。すると、関数を呼出す際には、同じ数の引数を渡さなければコンパイルエラーになってしまいます。
xSetDate()に定義された引数には、TimerEvent型が指定されています。nullは、値がないことを示す特別なデータで、任意のオブジェクトのデータ型に適合します。関数内の処理において、引数はとくに使われていません。したがって、コンパイルエラーを避ける目的のためには、nullで足りるということになります。
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○03-06 数値を指定桁数の文字列で返す関数
前節のスクリプト03-016で、日付を設定する処理の中には、数値を2桁の文字列に変換する処理が何度かありました。この処理を関数として定義してみましょう。何度か同様に行われる処理は、関数にすると見やすくわかりやすくなります。そうすると、問題が生じたとき発見しやすいうえに、機能を拡張して汎用化することも可能になります。
●数値を2桁の文字列に変換して返す関数
まず、スクリプト03-016のつぎの2行のステートメントを考えてみます。
var month_str:String = String(nMonth+100).substring(1);
var date_str:String = String(nDate+100).substring(1);
変数nMonthもnDateも2桁以下の数値です。上記2ステートメントの代入式右辺は、いずれも2桁以下の数値を2桁の文字列に変換する処理です。これをどのように関数として定義したらよいでしょう。関数を使えるようになるコツは、呼出し方を先に考えてしまうことです。上記2ステートメントであれば、つぎのような関数xSetDigits()があればいいと思いませんか?
var month_str:String = xSetDigits(nMonth);
var date_str:String = xSetDigits(nDate);
xSetDigits()は、2桁以下の整数を渡すと、2桁に揃えた文字列を返してくれる関数です。もちろん、まだそんな関数は存在しません。けれど、あたかもすでにあるかのように、希望を具体的に記述してしまうことで、関数の備えるべき大枠つまり仕様が決まります。そして関数定義は、いわば夢をかたちにする作業になるのです。
あったらいいなという関数を夢に描こう! 関数定義は夢をかたちにする作業。
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関数の呼出し方を明らかにすると、具体的には最低ふたつ、最大で4つの基本項目が決まります。
- 関数名[必須]
- 関数の定義場所(タイムライン)[必須]
- 引数の要否、あればその数やデータ型[オプション]
- 戻り値の有無、あればそのデータ型[オプション]
上記のステートメントに記述した関数xSetDigits()の呼出し方により、これら4つの項目が仕様として明らかになりました。
第1に、関数名はxSetDigitsです。第2に、関数のターゲットが省略されていますので、定義はこのステートメントと同じタイムラインに行うべきことになります。通常は、第1フレームアクションでしょう。この2項目は、関数を定義するときには、必ず定められなければなりません。
第3に、数値の引数がひとつあります。具体的には、2桁以下の正の整数です。第3に、戻り値として文字列が返されます。これは、引数の数値を2桁に揃えた文字列の数字になります。これらの2項目はオプションで、必要な場合もあれば、不要なこともあります。
Tips 03-014■関数の引数と戻り値
関数の引数と戻り値は、どちらも要らない場合と両方備わった場合以外に、片方だけ必要とされる場合があります。
ActionScript定義済みのメソッド(関数)を例にとると、Math.random()メソッドは、引数はありませんが、ランダムな小数値(乱数)を戻り値として返します。また、MovieClip.gotoAndPlay()メソッドは、移動先フレームを引数として指定しますが、戻り値はありません。
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上記4項目から、関数xSetDigits()は、つぎのようなかたちになります。引数はint、戻り値はStringで型指定しています。戻り値を返すには、returnステートメントを用います。
function xSetDigits(n:int):String {
var n_str:String;
// 引数nを2桁の文字列に変換して変数n_strに設定する処理
return n_str;
}
returnステートメントは、関数を終了し、returnの後に指定した式の値を返します。上記では、変数n_strの値が、戻り値として返されます。
Word 03-004■式
「式」は、演算子(Word 01-003「演算子」参照)と演算対象となる項(オペランド)を組合わせたものです。式は、演算結果として評価される値をもちます。式を構成するオペランドは複数項である必要はなく、単独の変数や値も式に含まれます。
[*筆者用参考] Wikipedia「式(プログラミング)」、「式とは何なのか」、「式と演算子」。
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Word 03-005■オペランド
プログラミングにおいて、演算の対象となる値や変数のことを「オペランド」(operand)といいます。「被演算子」と呼ばれることもあります。たとえば、n+10という式では、+が加算演算子で、変数nと値10がオペランドです。
[*筆者用参考] e-Words「オペランド」、IT用語辞典バイナリ「オペランド」
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Tips 03-015■returnの後の()が[自動フォーマット]で消える
Flash CS3 Professionalでは、returnステートメントの後の戻り値に括弧()を使った式が指定されていると、[自動フォーマット]したとき括弧()が消去されてしまいます。
たとえば、以下の関数xTest()では、returnステートメントの後の戻り値に、(a + b) * cという括弧を使った式が指定されています。xTest(1, 2, 3)を実行すると、括弧()の中が先に計算されますので、9が戻り値として返ります。
図03-018■returnステートメントの後の戻り値に括弧()を使った式が指定
xTest(1, 2, 3)を実行すると、9が返される。
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ところが、[自動フォーマット]を行うと、returnの後の括弧()が消滅します。同じxTest(1, 2, 3)を実行すると、掛け算が先に計算されますので、戻り値は7になってしまいます。
図03-019■[自動フォーマット]でreturnステートメントの後の括弧()が消滅
xTest(1, 2, 3)を実行すると、7が返される。
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2桁以下の数値を渡して、2桁の文字列の数字に変換する関数xSetDigits()は、以下のように定義されます(スクリプト03-017)。たとえば、引数に数値1を渡してxSetDigits(1)を呼出せば、"01"という文字列が返されます。
var _str:String = xSetDigits(1);
trace(_str); // 出力: 01
スクリプト03-017■2桁以下の数値を2桁の文字列に変換して返す関数
// フレームアクション
function xSetDigits(n:int):String {
var nTemp:Number = n+100;
var n_str:String = String(nTemp).substring(1);
return n_str;
}
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●任意の桁数の数値から末尾2桁を文字列に変換して返す
つぎに、スクリプト03-016の以下の1行のステートメントについて考えます。具体的には、4桁の西暦の年から下2桁を取出して、文字列に変換している処理です。
var year_str:String = String(nYear).substring(2);
この処理も、関数xSetDigits()を以下のように呼出して対応できるようにしましょう。
var year_str:String = xSetDigits(nYear);
末尾の2文字を取出すというxSetDigits()の処理の基本は変わりません。ただし、3桁以上の任意の数値が扱えるように修正します。それには、String.substring()メソッドに渡す引数を、数値の桁数より2少ない値にすればよいでしょう。桁数は、文字列に変換した後、String.lengthプロパティで取得することができました。
すると、上記スクリプト03-017は、以下のように書替えればよいでしょう。今度は、渡す数値が1桁でも4桁でも、下2桁の文字列が返されます。
var _str:String;
_str = xSetDigits(1);
trace(_str); // 出力: 01
_str = xSetDigits(2007);
trace(_str); // 出力: 07
スクリプト03-018■任意の桁数の数値を2桁の文字列に変換して返す関数
// フレームアクション
function xSetDigits(n:int):String {
var nTemp:Number = n+100;
var n_str:String = String(nTemp);
n_str = n_str.substring(n_str.length-2);
return n_str;
}
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関数xSetDigits本体{}内の最初のステートメントで100を加えている処理は、引数として3桁以上の数値が渡されたときは意味がありません。けれども、最終的に取出す下2桁の値にはとくに影響がないので、取りあえずこのままにしておきます。
●任意の桁数の数値から指定桁数の文字列に変換して返す
関数xSetDigits()をさらに汎用化します。文字列として取出す桁数を、任意に指定できるようにしましょう。xSetDigits()の定義に第2引数を追加して、必要な桁数を指定し、つぎのような結果が得られることを目指します。
var _str:String;
_str = xSetDigits(1, 4); // 1を4桁で表す
trace(_str); // 出力: 0001
_str = xSetDigits(2007, 2); // 2007の下2桁を取出す
trace(_str); // 出力: 07
1桁の数値を2桁に揃えるためには、数値に100を足しました。3桁ほしい場合には、1000を加えます。すると、n桁必要なときは、いくつを加算すればよいでしょう。
2桁: +100 = +102
3桁: +1000 = +103
:
n桁: +10n
足す数値の0の数が、取出す桁数と等しいことに着目すれば、10nを加えればよいことがわかります。べき乗は、Math.pow()メソッドで求めることができます。10nは、つぎのとおりです。ただし、変数nには3を代入しました。
var n:int = 3;
var nAnswer:int = Math.pow(10, n);
trace(nAnswer); // 出力: 1000
これで、関数xSetDigits()に手を加える準備が整いました。けれど、ここでもうひとつStringクラスのメソッドをご紹介しましょう。それは、String.substr()メソッドで、シンタックスはつぎのとおりです。
function substr(startIndex:Number = 0, len:Number = 0x7fffffff):String
String.substring()メソッドと同じく、文字列から指定された文字を取出します。第1引数startIndexは、String.substring()メソッドと同じ、取出す文字の開始位置です。ただし、第2引数lenは取出す文字数になっています。つまり、何文字目の位置(startIndex)から何文字(len)取出すという指定をします。
さらに、第1引数は、String.substring()メソッドと異なり、文字の末尾から逆に数えることができます。その場合、最後の文字を-1として、負の整数で指定します(図03-020)。たとえば、文字列"2007"の末尾から2文字"07"を取出したいときは、開始文字位置を-2と指定できるのです。そして、第2引数を省略すると、文字列の最後まで取出すことになります。
図03-020■String.substr()メソッドは開始文字位置を末尾からも指定できる
末尾から数えるときは、1文字目を-1として、負の整数で指定する。
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すると、String.substr()メソッドを使って文字列の末尾から数えてn文字取出したいときは、文字列の長さがn以上でさえあれば、引数に-nを指定すればよいということです。
var _str:String = "2007";
var n:int = 2;
_str = _str.substr(-n);
trace(_str); // 出力: 07
以上をもとにして、関数xSetDigits()に修正を加え、第2引数として取出す数字の桁数を指定できるようにしたのが以下のスクリプト03-019です。所期の目的どおり、xSetDigits(1, 4)やxSetDigits(2007, 2)といった呼出しにより、それぞれ"0001"や"07"という文字列が返るかどうか確認しましょう。
スクリプト03-019■任意の数値を指定した桁数の文字列に変換して返す関数
// フレームアクション
function xSetDigits(n:int, nExp:int):String {
var nTemp:Number = n+Math.pow(10, nExp);
var n_str:String = String(nTemp).substr(-nExp);
return n_str;
}
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この関数xSetDigits()は、時計のTextFieldインスタンスに日付を表示させるスクリプト03-016に組込んで完成させます(スクリプト03-020)。
スクリプト03-020■TextFieldに日付を表示するフレームアクションに関数xSetDigits()を追加
// MovieClip: 日付のTextFieldを内包
// フレームアクション
var myTimer:Timer = new Timer(1000);
myTimer.addEventListener(TimerEvent.TIMER, xSetDate);
myTimer.start();
function xSetDate(eventObject:TimerEvent):void {
var my_date:Date = new Date();
var nYear:Number = my_date.fullYear;
var nMonth:Number = my_date.month+1;
var nDate:Number = my_date.date;
var year_str:String = xSetDigits(nYear); // 第2引数省略
var month_str:String = xSetDigits(nMonth); // 第2引数省略
var date_str:String = xSetDigits(nDate); // 第2引数省略
var today_str:String = year_str+"/"+month_str+"/"+date_str;
my_txt.text = today_str;
// trace(today_str);
}
// 数値を指定した桁数の文字列に変換して返す関数
function xSetDigits(n:int, nExp:int = 2):String {
var nTemp:Number = n+Math.pow(10, nExp);
var n_str:String = String(nTemp).substr(-nExp);
return n_str;
}
xSetDate(null);
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関数xSetDigits()には、1点追加があります。それは、第2引数nExpの宣言に、デフォルト値2を指定したことです。int型指定の後の=2という記述がそれです。デフォルト値が指定してあると、関数呼出し時にその引数が省略されたとき、デフォルト値が引数値として扱われます。
つまり、関数xSetDigits()の第2引数を省略すると、2が指定されたものとして扱われ、2桁の文字が返されるということです。ですから、年月日の数字をすべて2桁で揃えて表示する関数xSetDate()からのxSetDigits()の呼出しは、第2引数が省略されて第1引数のみとなっています。
Maniac! 03-009■整数型データの制約
スクリプト03-020のxSetDigits()関数本体{}内の最初のステートメントは、n+Math.pow(10, nExp)つまりnに10のnExp乗を加えて、Number型変数nTempに代入しています。ふたつの引数nおよびnExpはともにint型ですので、代入式の右辺値は整数になります。しかし、変数nTempをint型では指定しませんでした。
これは、整数(int/uint)型の値の範囲が、Number型と比べて小さいためです。整数型の最大値は、intで2,147,483,647(231-1)、uintでも4,294,967,295(232- 1)です(Tips 02-015「数値のデータ型」参照)。関数xSetDigits()の第2引数nExpに10を指定すれば、たちまちこの値の上限を超えてしまいます。
したがって、たとえ変数値が整数であっても、広い範囲の値を扱う必要がある場合には、Number型で指定しなければならないのです。
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○Column 03 LiveDocsオンラインヘルプ
AdobeサイトにおけるFlash CS3 Professionalの技術情報として、「Flashリソース」(<http://www.adobe.com/support/documentation/jp/flash/>)があります(図Column 03-001)。その中でも、「LiveDocsオンラインヘルプ」は、ぜひ活用することをお勧めします。
図Column 03-001■Adobe「Flashリソース」
LiveDocsオンラインヘルプへのリンクがある。
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LiveDocsは、Flash CS3アプリケーションの[ヘルプ]のコンテンツをAdobeサイトに掲載したものです。ドキュメントの構成も、[ヘルプ]と同じです。しかし、アプリケーションの出荷後も、適宜情報の更新・追加が行われています。
たとえば、前掲図03-014で指摘した[Dateコンストラクタ]の項で、邦訳する必要のない"function"の語を「関数」としていた点も、LiveDocsでは正しく修正されています(図Column 03-002)。
図Column 03-002■LiveDocsの[Dateコンストラクタ]の項
不要な邦訳はされず、"function"と正しく表記されている。
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また、米国のAdobeサイトには、英語版のLiveDocsがあります(「Flash resources」<http://www.adobe.com/support/documentation/en/flash/>)。アップデートの頻度は英語版の方が高く、たとえば前掲Tips 03-010「Date()コンストラクタに指定する文字列のフォーマット」で補足した、[Date()コンストラクタ]の項の誤った文字列フォーマットの例は、英語版では削除されています(本稿執筆時点では、日本語版は修正されていません)。
図Column 03-003■LiveDocs英語版の[Date Constructor]の項
さらに、日本語版・英語版のLiveDocsには、ともにblogのようにユーザーからコメントを加えられる機能があります(ただし、Adobeによる投稿の承認が必要です)。このコメントも、閲覧者数の違いから、英語版の方が多く、さまざまな補足・修正の情報が加えられています。さらに、英語版LiveDocsには、米国Adobeスタッフがコメントすることもあります(図Column 03-004)。
図Column 03-004■LiveDocsに加えられた米国Adobeスタッフによるコメント
Flash CS3 Documentation [ActionScript 2.0 Language Reference] > [ActionScript language elements] > [Operators] > [&& logical AND operator]の項に加えられたコメント。
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ですから、日本語版LiveDocsと併せて英語版も参照すると、より多くのアップデート情報が手に入るでしょう。なお、Flash CS3ヘルプの中で筆者が気づいた誤りは、FumioNonaka.comに「正誤表」(<http://www.fumiononaka.com/TechNotes/Flash/Errata_HelpFlashCS3.html>)として掲載しています。
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作成者: 野中文雄
更新日: 2008年1月24日 Maniac! 03-001の解説を修正。
更新日: 2008年1月20日 AS1&2 Note 03-003を追加。
作成日: 2007年9月1日