Adobe Flash CS3 Professional ActionScript 3.0 □Math 01 数列の基礎○01-01 数列とは 1, 2, 3, 4, ... [*筆者用参考] Wikipedia「数列」、「数列とその極限」
並べられた数のひとつひとつを「項」といいます。そして、とくに最初の項は「初項」と呼ばれます。数学では、各項や順序数との間に何らかの規則のある数列が、おもに扱われます。中でも「等差数列」と「等比数列」が、基礎的かつ代表的な数列でしょう。 ○01-02 等差数列 偶数: 0, 2, 4, 6, ...
aという数列について、第n項は右下に添字をつけて、anと表します。初項がa1で公差dの等差数列の第n項は、つぎの式で示すことができます。 an = a1+(n-1)d 上記の偶数および奇数の数列で、第5項はそれぞれ、8(=0+2×4)と9(=1+2×4)になることが、この式でも確かめられます。 それでは、等差数列の項を初項から第n項まですべて足したとき、その合計Snはどうなるでしょう? Sn = a1 + a2 + a3 + ... + an 右辺の項数はnですから、取りあえずつぎのようにまとめることができます。 Sn = na1 + (d + 2d + ... + (n-1)d) ここで、右辺の括弧()の中の合計Aを求めることができれば、Snが導けます。数学もスクリプトも、わかった部分とわからない部分とはできるだけ分け、1度に考える範囲を小さくすることが、確実に理解するコツです。 A = d + 2d + ... + (n-1)d 天才数学者ガウスは、小学生のとき「自然数1から100までの合計を求めよ」という問題を出されて、即座に答えを計算したといいます。その逸話から、ヒントをもらいましょう。 まず、1から100までの合計をSとします。つぎに、逆に100から1までの合計を考えると、足し算は足す順序を変えても答えは変わりませんから、やはり計はSになります。このふたつの式を、各項ごとに足し合わせます。 S = 1 + 2 + 3 + ... + 100 右辺は全部で100項ありますから、つぎのように合計Sを5050と導くことができます。 2S = 101×100 = 10100 では改めて、ガウスの考え方に倣い、上記の合計Aを求めてみましょう。 A = d + 2d + ... + (n-1)d 右辺の項数は、初項を除いた(n-1)項ですから、合計Aはつぎのように求められます。 2A = n(n-1)d この結果を、上記の等差数列の合計Snの式に戻します。 Sn = na1 + A 自然数1から100までの合計は、初項1で公差1の自然数列第100項までの和になりますから、つぎのように求められます。 S100 = 100(1+99×1/2) = 100×(2+99)/2 = 50×101 = 5050 表Math01-001■等差数列のポイント
○01-03 等比数列 1, 2, 4, 8, ... 初項がa1で公比rの等比数列の第n項は、つぎの式で表せます。 an = a1rn-1 等比数列の和は、「幾何級数」とも呼ばれます。幾何級数的とかねずみ算的という表現は、いずれも瞬く間に増加する等比級数の性質を示しています。 ねずみ算ほどではないにしても、雪だるま式に増えるという高利のローンの計算も、等比数列になります。100万円を利息制限法の上限金利の年15%で借入れると、初項100万で公比1.15(元本1+利子0.15)の等比数列です。すると、5年で2倍を超える返済額(約201万円 = 100万×1.155)になることがわかります。 では、等比級数の初項から第n項までの和Snを求めてみましょう。まずは、少しまとめます。 Sn = a1 + a1r + a1r2 + ... + a1rn-1 ここで、括弧()の中の式をAと置いて、その合計を求めれば、Snが導けます。等比数列は、各項に公比rを掛合わせると、次項と等しくなります。そこで、初項と末項との間の不定数の項を消すために、A - rAを計算します。 A = 1 + r + r2 + ... + rn-1 このAの式をSnの式に代入すると、等比数列の初項から第n項までの合計がつぎのように求まります。 Sn = a1(1-rn)/(1-r)
項数を無限大(∞)に拡大した等比級数の和すなわち無限等比級数において、公比rの絶対値が1未満(|r|<1または-1<r<1)のとき、値は収束することが知られています。 Sn = a1(1-rn)/(1-r) この等比級数の和Snの式で、右辺の分母にあるrnは、-1<r<1の場合項数nをかぎりなく大きく(n→∞)したとき0に収束します。したがって、無限等比数列の和(無限等比級数)Snは、つぎの式で表されます。 Sn = a1/(1-r)表Math01-002■等比数列のポイント
○01-04 イーズアウトと等比数列
この処理において、毎フレーム目的の値に向かって近づく数値の並びは、等比数列になっています。たとえば、減速率を0.2として、初期状態から見た目的の値(たとえば座標値)は簡単のために1とします。 すると、フレームごとに変化する値は、つぎのようになります。 1: 0.2 … 残り0.8 まず第1回目のフレーム更新で、目的の値1のうち減速率0.2、つまり2割だけ変化(移動)します。目的の値まで、残りは0.8です。つぎに第2回目のフレーム更新では、残り0.8のうち減速率0.2分(2割)つまり0.2×0.8変化します。すると、残りは0.8のさらに8割である0.82です。同様に第3回目のフレーム更新では、残り0.82のさらに2割である0.2×0.82変化し、残りは8割の0.83となります。 これは結局、初項が0.2で公比0.8の等比数列ですから、第n項は0.2×0.8n-1となります。残りの0.8nは、nをかぎりなく大きくすれば0に収束します。 さらに一般化して減速率をdとすると、初項はdで公比(1-d)の等比数列だと考えることができます。すると、第nフレーム目の第n項anは、つぎのように表せます。 an = d(1-d)n-1 フレームごとの変化(移動)の合計、つまり等比数列の和がかぎりなく一定の値に近づく条件は、公比の絶対値が1より小さいことですから、-1<(1-d)<1となり、0<d<2であることがわかります(Tips 04-005「減速率」参照)。 確認のため、無限等比数列の和(無限等比級数)Snを求めると1となり、目的の値1に収束することがわかります。 Sn = d/(1-(1-d)) = d/d = 1 作成者: 野中文雄 Copyright © 2001-2007 Fumio Nonaka. All rights reserved. |
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