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Adobe Flash非公式テクニカルノート

Starlingフレームワークをインストールする

ID: FN1201002 Product: Flash CS5 and above Platform: All Version: 11 and above/ActionScript 3.0

「Starling」は、Flash Player 11の新しい描画機能「Stage3D」にもとづいてつくられた2次元の描画用フレームワークです。オープンソースのフレームワークをダウンロードしてインストールします。本稿では、Flash Professional CS5.5での具体的な手順をご紹介します(CS5でもほぼ同様)。なお、「Flash CS5/CS5.5でFlash Player 11のSWFを書出す」設定は予め行っておかなければなりません。


01 Starlingフレームワークとは
Starlingフレームワークは、GPUがそのまま使えるStage3Dにもとづくため、2次元のグラフィックスをこれまでよりはるかに速く描けます。そのStage3Dは、アセンブラ(機械語)に近いレベル(低レベル)で処理することにより高速に描画します[*1]

裏返せば、Stage3Dは文法こそActionScript 3.0にしたがうものの、プログラミングの考え方はアセンブラとほぼ変わらない、新しい言語といってもよいでしょう。表示リストの階層もなければ、フレームベースのアニメーションもできません。

Starlingには、SpriteMovieClipといったクラスがあり、addChild()メソッドも使えます。また、addEventListner()メソッドENTER_FRAMEイベントのリスナーを加えることもできます。これまでのActionScript 3.0と似た感覚でStage3Dによる2次元の描画を扱えるのがStarlingフレームワークなのです[*2]

StarlingはオープンソースのActionScriptフレームワークです。FreeBSDライセンスにもとづいて配布されます[*3]

[*1] Stage3Dについて詳しくは、Adobe Developer Connection「Stage3Dコンテンツ制作入門」の「Stage3Dとは」をご参照ください。

[*2] Starlingフレームワークについては、akihiro kamijo「Starling(新しい ActionScript 3の2Dフレームワーク)のご紹介」が詳しく解説しています。

[*3] FreeBSD(Simplified BSD)ライセンスについては、Wikipedia「BSD licenses」の「2-clause license ("Simplified BSD License" or "FreeBSD License")」(英文)や「BSDライセンス」、IT用語辞典「BSDライセンス」などをご参照ください。


02 Starling Frameworkのダウンロードと設定
フレームワークは、「Starling Framework」のサイトで[Download]ボタンをクリックして取得します。ダウンロードされたフォルダの中に、文字どおり「Starling」というフォルダがあり、3つのフォルダが含まれています(図001)。その中の「bin」と「src」のふたつをフレームワークで使います。

図001■「Starling」フォルダの中の「bin」と「src」をフレームワークで使う
図001

フレームワークで用いるActionScriptファイルは、Flashオーサリングツールの側でパスを通さなければなりません。「bin」フォルダ内のStarling.swcはライブラリパス、「src」フォルダの中身はソースパスに置きます。これらのパスの設定については、「ActionScriptパブリッシュ設定」の「ActionScriptファイルの場所の設定」の項をお読みください。なお、ActionScriptファイルのパスについてまだ学習されていない方のために、「[パブリッシュ設定]によるActionScriptファイルのパスの指定」を次項03でご説明します。

Starlingフレームワークを使うFLAファイルは、[パブリッシュ設定]にふたつの指定がされていなければなりません(図002)。

図002■[パブリッシュ設定]で[Player]と[ハードウェアアクセラレーション]を指定
図002

第1に、[Player]は[Flash Player 11.0]以降にします。Stage3DはFlash Player 11からの機能です。それより古いバージョンが選ばれていると、「型が見つからないか、コンパイル時定数ではありません」というコンパイルエラー#1046が生じます[*4]

第2は、[ハードウェアアクセラレーション]で[レベル 1 - ダイレクト]を選ばなければなりません。この設定がされていないと、Starlingはつぎのようなエラーを告げます[*5]

This application is not correctly embedded (wrong wmode value)

[*4] 前出「Flash CS5/CS5.5でFlash Player 11のSWFを書出す」による設定では、「Flash Player 11の動きを確かめるには、ブラウザにFlash Player 11をインストールしたうえで[パブリッシュ]して見なければなりません」(注[*1])。

[*5] [ハードウェアアクセラレーション]を[レベル 1 - ダイレクト]にすると、HTMLドキュメントを埋込むSWFファイルのwmodeパラメータは「direct」に定められます。エラーは、その指定が正しく行われていないことを示しています。なお、akihiro kamijo「Starling(ActionScript 3の2Dフレームワーク)のご紹介のつづき」の「Stage3Dが利用できない場合」および前出「Stage3Dコンテンツ制作入門」の「flaファイルごとの設定」を併せてご参照ください。


03 [パブリッシュ設定]によるActionScriptファイルのパスの指定
Flashオーサリングツールでフレームワークのファイルパスを定めるとき、アプリケーション(グローバル)レベルとドキュメントレベルのふたつの設定の仕方があります。ここでは、アプリケーション全体には影響を与えることなく、Flashムービー(FLA)ファイルごとに指定する後者の方法をご紹介します。

まず、ライブラリとソースそれぞれのファイルを納めるフォルダが必要です(図003)。フォルダ名は問いません。ただ、2バイト文字を使うのは避けた方がよいでしょう。他のフレームワークとフォルダを共用しても構いません。

図003■ライブラリとソース用のふたつのフォルダを用意する
図003

「bin」フォルダ内のSWCファイル(Starling.swc)はライブラリ用フォルダ、「scr」フォルダの中身はそのまますべてソース用フォルダにコピーします(ふたつのフォルダの内容については前掲図001参照)[*6]

つぎに、Flashオーサリングツールで[パブリッシュ設定](前掲図002参照)から、[ActionScript 3.0の詳細設定]ダイアログボックスを開いて、ソースパスとライブラリパスを設定します。

[ActionScript 3.0の詳細設定]ダイアログボックスで[ソースパス]タブをクリックして、ソースパスリストに「scr」フォルダの中身が入ったソース用フォルダを追加します(図004)。パスを加える操作については、前出「ActionScriptパブリッシュ設定」の「ActionScript 3.0のソースパスの設定」の項をご覧ください。

図004■[パブリッシュ設定]の[ActionScript 3.0の詳細設定]で[ソースパス]を加える
図004

[ライブラリパス]のタブをクリックしたら、SWCファイル(Starling.swc)が納められたライブラリ用フォルダを、同じ要領でパスに加えます(図005)。詳しくは、前出「ActionScriptパブリッシュ設定」の「ActionScript 3.0ファイルのライブラリパスの設定」の項をお読みください。

図005■[パブリッシュ設定]の[ActionScript 3.0の詳細設定]で[ライブラリパス]を加える
図005

[パブリッシュ設定]はFLAファイルそれぞれへの指定です。つまり、Starlingフレームワークが用いられる新規のFLAファイルをつくるたびに、この設定はしなければなりません。これからつくる(厳密にはSWFを書出す)すべてのFLAファイルのデフォルトでフレームワークが使えるようにするには、アプリケーションレベルのパスを設定してください(前出「ActionScriptパブリッシュ設定」の「ActionScriptファイルの場所の設定」参照)。

[*6]「src」フォルダの中の「com」フォルダに納められているのは、Adobeが提供しているStage3D(AGAL)コンパイル用のクラスAGALMiniAssemblerです。Starlingフレームワークを使うために必須ではなく、省いても構いません。他にStage3Dのサンプルを試していれば、すでにインストールされている場合もあります。


04 つづきは……
これでStarlingフレームワークを使う準備が整いました。実際に使ってみたいところです。フレームワークの使い方については、「Starlingフレームワークを使う」をお読みください。


作成者: 野中文雄
更新日: 2012年1月15日「Starlingフレームワークを使う」へのリンクを追加。
作成日: 2012年1月14日


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