Flash Player 13のベータリリース(13.0.0.168)には、機能強化とバグ修正に加え、安全性や安定性、パフォーマンス、およびデバイスの互換性などに関わる新機能が備わりました。「Flash Player 13 and AIR 13 Release Notes」(PDF)からその中身をかいつまんでご紹介します。
01 新たな機能
- TextField用の補助文字の拡張をサポート
TextFieldコントロールがサロゲートペアをサポートします。これにより、基本多言語面(Basic Multilingual Plane)から外れるUnicodeのコードU+10000からU+10FFFFまでの文字が、TextFieldのコントロールで正しく扱われます。サポートされるコードの範囲は大幅に広がります。その中には、顔文字(emoticons)やCJK統合漢字も含まれます。
- フルスクリーンビデオのメッセージを微調整
フルスクリーンビデオに示される「フルスクリーンモードを終了するにはEscキーを押します」という警告ダイアログに少し調整を加えました。ダイアログでコンテンツが見にくいという声に応え、セキュリティの配慮とユーザーの見やすさも考え合わせた変更を行いました。ダイアログが邪魔にならないように、もとの画面の中央から上部に動かしたのです。
- Stage3Dのテクスチャに定められる新たなラップモード
テクスチャのラップモードを定める定数として、これまでクランプのContext3DWrapMode.CLAMPと繰返し(タイル化)のContext3DWrapMode.REPEATが与えられました。これらは、uv軸どちらも同じ定めになります。新たに、uv座標軸でテクスチャの設定が選べるようになりました。つぎのような定数で、uv軸それぞれについてモードが決められます。
- Context3DWrapMode.REPEAT_U_CLAMP_V
- Context3DWrapMode.CLAMP_U_REPEAT_V
- Stage3Dのテクスチャレンダリングに用いるアンチエイリアス
アンチエイリアスは、見た目をよくするために大切です。ハードウェアによる「Multisample Anti-Aliasing」(MSAA)がデスクトッププラットフォームで使えるようになりました。MSAAは、新たなContext3D.setRenderToTexture()メソッドを用いて0から4のレベルまで定められます。
- サンプリング1/アンチエイリアスなし
- サンプリング2/低品質
- サンプリング4/中品質
- サンプリング8/高品質
- サンプリング16/最高品質
- iOS用の改善されたパッケージエンジンにデバッグとテレメトリーがサポート
"-useLegacyAOT no"でパッケージしたアプリケーションのデバッグができるようになりました。また、Adobe Scoutの高度なテレメトリーも使えます。
02 Flash Player 13でオーサリングするには
新しいFlash Player 13を使うには、ターゲットとなるバージョン23のSWFをASC 2.0のコンパイル引数に加えなければなりません(-swf-version=23)。手順はつぎのとおりです。
- Flash Player 13のplayerglobal.swc(「Flash Player 13 Beta Global SWC」)をダウンロードします。
- Flash Builder 4.7をCreative Cloudからダウンロードしてインストールします。アプリケーションに同梱のAIR SDKをAIR 4.0 SDKに置換えます(環境を戻す必要があれば、もとのファイルをバックアップしてください)。そのためには、ZIPから解凍したAIR 4.0 SDKをつぎの場所に入れます。
- MacOS: /Applications/Adobe Flash Builder 4.7/eclipse/plugins/com.adobe.flash.compiler_4.7.0.348297/AIRSDK
- Windows: C:\Program Files\Adobe\Adobe Flash Builder 4.7 (64 Bit)\eclipse\plugins\com.adobe.flash.compiler_4.7.0.349722\AIRSDK\
- Flash Builderで新規プロジェクトを作成します([ファイル] > [新規] > [プロジェクト])。
- プロジェクトの[プロパティ]パネルを開きます(プロジェクトのショートカットメニューから[プロパティ])。そして、左のリストから[ActionScriptコンパイラー]を選びます。
- [追加コンパイラー引数]につぎのように入力します。これで、SWFはバージョン23で書出されます。Flash Builderでなくコマンドラインでコンパイルするときは、同じコンパイラ引数を加えてください。
作成者: 野中文雄
更新日: 2014年3月22日 13.0.0.168にもとづき01「新たな機能」に追加・補正。
更新日: 2014年2月22日 13.0.0.80から13.0.0.130への追加。
作成日: 2014年2月17日