HTML5テクニカルノート
Vue.js入門 05: 項目を数えて表示する
- ID: FN1702008
- Technique: HTML5 / JavaScript
- Library: Vue.js 2.1.10
Vue.jsには、普通のプロパティとメソッドのほか、プロパティのように扱えるメソッドが備わっています。そのプロパティで、条件に合ったデータを数えて返してみます。
[注記] 本稿はVue.js 2.6とECMAScript 2015(ES6)にもとづく「Vue.js + ES6入門 05: 項目を数えて表示する」に改訂しました。
01 項目の数を示す
「Vue.js入門 04: フィールドに入力したテキストを動的に項目として加える」でつくったコード001に手を加えてゆきましょう。アプリケーションに納めた複数のデータがリストとして示され、入力フィールドのテキストは「追加」ボタンで項目に加えられます(図001)。これら項目のすべてとチェックされていない数を、それぞれ調べて表示するのが課題です。
図001■入力フィールドのテキストがページの項目に加えられる
項目のデータは以下のように、配列のプロパティに納められています。ですから、Array.length
プロパティで調べられます。HTMLの要素には、二重波かっこ{{}}
でバインディングすればよいでしょう。これで、項目の総数は示せます(図002)。
<body>要素<div id="app" class="container"> <h2>Todo</h2> <p> 全{{todos.length}}件 </p> </div>
<script>要素var app = new Vue({ el: '#app', data: { todos: [ {text: 'Vue.jsを学ぶ', done: true}, {text: 'Vue.jsでアプリケーションをつくる', done: false}, ] }, });
図002■項目の総数が示された
02 条件に合ったデータを数えて返す
チェックをつけた項目は、データのプロパティ(done)の値がtrue
になります。その数を調べて返すというのは、メソッドに定める処理です。けれど、Vue.jsでは、つぎのようにプロパティ(remaining)のかたちにできます(getter関数)。
<body>要素<div id="app" class="container"> <h2>Todo</h2> <p> 全{{todos.length}}件中残り{{remaining}}件 </p> </div>
Vue()
コンストラクタの引数オブジェクトには、つぎのように算出プロパティcomputed
を加えます。関数を与えたプロパティ(remaining)はgetter関数として働きます。関数本体で扱っているデータが変われば、戻り値も改められるのです。上記の要素にバインドしたテキストには、つねに最新の値が示されることになります(図003)。HTMLとJavaScriptの記述は、以下のコード001にまとめました。併せて、コードを試すためのサンプル001もその下に掲げてあります。
<script>要素var app = new Vue({ el: '#app', computed: { remaining: function() { var count = 0; var todos = this.todos; var length = todos.length; for(var i = 0; i < length; i++) { if(!todos[i].done) { count++; } } return count; } } });
図003■つねに最新の項目数が示される
コード001■条件に合ったデータを数えて返す
<body>要素
<div id="app" class="container">
<h2>Todo</h2>
<p>
全{{todos.length}}件中残り{{remaining}}件
</p>
<ul class="list-unstyled">
<li v-for="todo in todos">
<label>
<input type="checkbox" v-model="todo.done" />
<span v-bind:class="{'done': todo.done}">{{todo.text}}</span>
</label>
</li>
</ul>
<p>
<input type="text" v-model="todoText" placeholder="add new todo here" />
<button v-on:click="addTodo()" class="btn btn-primary btn-sm">追加</button>
</p>
</div>
var app = new Vue({
el: '#app',
data: {
todoText: '',
todos: [
{text: 'Vue.jsを学ぶ', done: true},
{text: 'Vue.jsでアプリケーションをつくる', done: false},
]
},
methods: {
addTodo: function() {
var newTodo = this.todoText.trim();
if (!newTodo) {return;}
this.todos.push(
{text: newTodo, done: false}
);
this.todoText = '';
}
},
computed: {
remaining: function() {
var count = 0;
var todos = this.todos;
var length = todos.length;
for(var i = 0; i < length; i++) {
if(!todos[i].done) {
count++;
}
}
return count;
}
}
});
サンプル001■条件に合ったデータを数えて返す
See the Pen Vue.js: Using Computed Properties by Fumio Nonaka (@FumioNonaka) on CodePen.
03 算出プロパティとメソッドの違い
computed
に加えた算出プロパティ(remaining)は、methods
に以下のようにメソッド(getRemains())として定めても、同じ結果が得られます。
<body>要素<script>要素<div id="app" class="container"> <p> <!--全{{todos.length}}件中残り{{remaining}}件--> 全{{todos.length}}件中残り{{getRemains()}}件 </p> </div>
var app = new Vue({ el: '#app', data: { todos: [ {text: 'Vue.jsを学ぶ', done: true}, {text: 'Vue.jsでアプリケーションをつくる', done: false}, ] }, methods: { getRemains: function() { // 算出プロパティのgetter関数と同じ処理 var count = 0; var todos = this.todos; var length = todos.length; for(var i = 0; i < length; i++) { if(!todos[i].done) { count++; } } return count; } } });
けれど、今回の例では「算出プロパティは依存関係にもとづきキャッシュされる」のでお得です。依存するデータが変わらないかぎり前に求めた値を返し、プロパティに定めたgetter関数は呼び出されないからです。
04 Advanced: ECMAScript 6の構文を使う
「Vue.js入門 04: フィールドに入力したテキストを動的に項目として加える」のコード001は、その項03「Advanced: Vueの省略記法とECMAScript 6の構文を使う」でECMAScript 6準拠のコード002に改めました。前掲コード001も本稿で加えた処理を、同じようにECMAScript 6の構文で書いてみましょう。まず、算出プロパティcomputed
に加えるのはメソッドですから、以下のように「: function
」は省けます(前出「Vue.js入門 04」03「Advanced: Vueの省略記法とECMAScript 6の構文を使う」参照)。
つぎにメソッド(remaining())本体は、変数をlet
もしくはconst
で宣言すれば、for
ループの処理はそのままでも構いません。けれど、ここではECMAScript 5.1で備わったArray.filter()
メソッドを使ってみることにしましょう。引数に渡した関数は、配列要素を順に受け取ります。そして、戻り値がtrue
となる要素のみの納められた配列を返します。そして、名前のない関数には、つぎのようにアロー関数式=>
が使えるのです。関数本体が戻り値を返す文ひとつであれば、ブロックの波かっこ{}
もreturn
ステートメントも省けます。
<script>要素const app = new Vue({ computed: { // remaining: function() { remaining() { /* var count = 0; var todos = this.todos; var length = todos.length; for(var i = 0; i < length; i++) { if(!todos[i].done) { count++; } } return count; */ return this.todos.filter((todo) => !todo.done).length; } } });
<body>
要素のHTMLコードは前掲コード001と同じです。ECMAScript 6の構文に書き改めたJavaScriptコードは、つぎのコード002のとおりです。動きを確かめるための以下のサンプル002をjsdo.itに掲げました。
コード002■ECMAScript 6の構文で条件に合ったデータを数えて返す
<script>要素
const app = new Vue({
el: '#app',
data: {
todoText: '',
todos: [
{text: 'Vue.jsを学ぶ', done: true},
{text: 'Vue.jsでアプリケーションをつくる', done: false},
]
},
methods: {
addTodo() {
const newTodo = this.todoText.trim();
if (!newTodo) {return;}
this.todos.push(
{text: newTodo, done: false}
);
this.todoText = '';
}
},
computed: {
remaining() {
return this.todos.filter((todo) => !todo.done).length;
}
}
});
サンプル002■Vue.js + ES6: Counting items to match conditions and return the number
- Vue.js入門 01: Vue.jsを始める
- Vue.js入門 02: 要素のclass属性を動的に変える
- Vue.js入門 03: データから動的にリストをつくる
- Vue.js入門 04: フィールドに入力したテキストを動的に項目として加える
- Vue.js入門 06: 項目を調べてデータから削除する
- Vue.js入門 07: データを項目ごとに削除する
作成者: 野中文雄
更新日: 2017年11月25日 04「Advanced: ECMAScript 6の構文を使う」を追加。
更新日: 2016年2月22日 03「算出プロパティとメソッドの違い」を追加。
作成日: 2016年2月18日
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