2014年12月12日付で、EaselJS 0.8.0が公開されました。改訂された項目について、VERSIONS.txtにもとづきご紹介します。

01 重要な変更(従来のコンテンツとの互換性に問題が起こりうる)

• SpriteSheetBuilder.addFrame()メソッドの引数変更。
  • 0.8.0
    addFrame(source, [sourceRect], [scale=1], [setupFunction], [setupData]) Number
  • 0.7.1
    addFrame(source, [sourceRect], [scale=1], [setupFunction], [setupParams], [setupScope]) Number
• MouseEventクラスから、非推奨だったイベントMouseEvent.mousemoveとMouseEvent.mouseupを削除。
  • 「EaselJS 0.7.0でインスタンスをドラッグ&ドロップする」
• メソッドGraphics.append()を加えたので、Graphics.inject()は削除。
• Sprite.gotoAndPlay()メソッドを呼出した後、最初のフレームが正しく表示されるよう修正。
• TickerクラスをCreateJSモジュールに移行。
  • 将来のリリースでは、TweenJSと同梱されるため。
• クラスと継承のモデルを再設計。
  • initialize()メソッドは除かれたので、替わりにMySuperClass_constructor()を呼出す(MySuperClassはスーパークラス名)。
  • 「CreateJS 14/12/12: 新たな継承の仕組みを定めるextend()とpromote()メソッド」
  • プロパティはインスタンスに定められ、コンストラクタで値が与えられる。
    • パフォーマンスが改善。
    • 「CreateJSの新しいクラスモデル」
  • すべてのクラスでObject.constructorプロパティが正しく定められる。
    • 「CreateJS 14/12/12: 新たな継承の仕組みを定めるextend()とpromote()メソッド」の「実装」におけるextend()メソッドの解説参照。
  • 「EaselJS 0.8.0: extend()メソッドを使った継承に書替えるときに注意すること」
• geomパッケージのクラスのメソッドinitialize()は、setValues()に改められた。
  • 「EaselJS 0.8.0: 使い回すオブジェクトにプロパティを定める」01「geomパッケージのクラスにプロパティ値を定め直す新たなメソッドが備わった」
• Matrix2Dクラスから座標に関わらないプロパティの扱いを除いた。
  • プロパティ: visible、alpha、compositeOperation、shadow。
  • メソッド: appendProperties()、prependProperties()。
  • 表示オブジェクト(DisplayObjectインスタンス)のプロパティとMatrix2Dオブジェクトの操作にはDisplayPropsクラスを用いる。
• 問題のあったMatrix2Dクラスのメソッドを修正。
• ColorMatrixクラスのメソッドcopyMatrix()は、ColorMatrix.copy()に名前を変更
  • geomパッケージのクラスにメソッド名を揃えた。

02 メソッドからプロパティへの変更(メソッドは将来のバージョンで削除予定)

03 パフォーマンスの改善

• extrasフォルダにPerformanceTestsを追加。
  
  図001■バージョン0.8.0のEaselJS-masterに納められたextrasフォルダの中身
  


• パフォーマンスの向上。
  • ベクターグラフィックス。
    • とくに膨大な指示を含むGraphicsインスタンス。
  • フィルタ: 2〜4倍。
  • 表示リスト全般: 最大2倍。
  • DisplayObjectインスタンスのプロパティ参照: 最大2倍。
  • tickイベントの配信: 最大3倍。

04 その他の変更

• 取得/設定のメソッドの多くを、getter/setterプロパティに変更。
  • 前述02「メソッドからプロパティへの変更(メソッドは将来のバージョンで削除予定)」参照。
• SpriteSheetBuilder.addMovieClip()メソッドに第4〜6引数を追加。
  • addMovieClip(source, [sourceRect], [scale=1], [setupFunction], [setupData], [labelFunction])
• WebGLで描画するためにクラスSpriteStageとSpriteContainerを追加。
• WebGLに対応するためBitmapTextクラスの動きを変更。
• 作例のexamplesにWebGLを追加。
  
  図002■バージョン0.8.0のEaselJS-masterに納められたexamplesフォルダの中身
  


• DOMElementで使うため、DisplayProps.visibleプロパティを追加。
  • 0.7.1のMatrix2Dクラスにはvisibleプロパティが備わっていなかった。
• プロパティDisplayObject.snapToPixelとStage.snapToPixelEnabledの互いの動き方を更新。
• Stage.nextStageプロパティを大幅に改善して、重ねたcanvas要素の扱いを向上。
• ButtonHelperクラスはContainer.mouseChildrenプロパティをfalseに設定。ButtonHelper.enabledプロパティをfalseにしたとき、デフォルトカーソルに戻す。
• Stage.getObjectsUnderPoint()メソッドがマウスイベントのリスナーのない要素は無視してしまうという0.7.1で生じた問題を修正。
• ドキュメントを更新。
• ドキュメントにおける例の書式を修正。
• Stage.update()メソッドに渡すカスタムデータの扱いを簡素化。
• DisplayObject.tickイベントは、Ticker.tickイベントオブジェクトがStage.update()メソッドの初めの引数として渡されたとき、つぎの4つのプロパティを備える。
  • delta
  • time
  • paused
  • runTime
• Stage.tick()メソッドの追加。
• Event.set()メソッドの追加。
• MovieClip.framerateプロパティを追加し、時間にもとづくインスタンスのフレーム進行に対応。
• Bowerに対応し、bower.jsonを自動的に更新するgruntタスクも備える。
• Ticker.reset()メソッドの問題を修正。
• メソッドTicker.getTime()とTicker.getEventTime()は、Tickerクラスが初期化されていないとき-1を返す。
• Event.preventDefault()メソッドがイベントStage.tickstartとStage.drawstartに対応。
• Stage.drawRectプロパティで描画領域が定められる。
• Graphicsクラスは、Graphicsコマンドオブジェクトを使うように大幅に書直した。
• Graphics.getInstructions()メソッドを追加。
  • Graphics.instructionsプロパティを使うことが推奨(前述02「メソッドからプロパティへの変更(メソッドは将来のバージョンで削除予定)」参照)。
• Text.getMetrics()メソッドを追加。
• フォントの指定がない、もしくは無効なときのText.getMeasuredWidth()メソッドの問題を修正。
• SpriteSheetクラスで、幅・高さが0のフレームが含まれるときの問題を修正。
• CreateJSのCDNがhttpsとSSLに対応。
• Spriteオブジェクトがスピードの値の異なる連続したアニメーションの扱い方を改善。
• Sprite.changeイベントを追加。
• イベントDisplayObject.addedとDisplayObject.removedを追加。
• extrasフォルダに、SVGExporterとContext2DLog、およびPerformanceTestsを追加(前掲図001)。
• メソッドGraphics.store()とGraphics.unstore()を追加。
• examplesの作例は、ライブラリにcombined版を使用。
• SpriteSheet.getNumFrames()メソッドは、イメージが読込めていないとき、nullでなく0を返す。
• ライブラリの初期ユニットテストを追加。
• Rectangleクラスにつぎの7つの補助メソッドを追加。
  • Rectangle.union()
  • Rectangle.intersects()
  • Rectangle.extend()
  • Rectangle.intersection()
  • Rectangle.pad()^[*2]
  • Rectangle.isEmpty()
  • Rectangle.contains()
• すべてのクラスでclone()メソッドを更新。
• Matrix2D.equals()メソッドを追加。
• DisplayObject.transformMatrixプロパティを追加。
• マウスインタラクションとStage.getObjectsUnderPoint()メソッドはマスクを識別。
• Stage.getObjectsUnderPoint()メソッドの引数にmodeを加えたことにより、DisplayObject.mouseEnabledやContainer.mouseChildrenプロパティの設定、あるいはマウスイベントリスナーを識別。
• Stage.preventSelectionプロパティが加わり、ドキュメントの要素がうっかり選ばれることを防ぐ。
• DisplayObjectクラスのつぎの3つのメソッドに、引数としてPointオブジェクトを追加。
  • DisplayObject.localToGlobal()
  • DisplayObject.globalToLocal()
  • DisplayObject.localToLocal()
• BlurFilterクラスの品質向上。
• MouseEvent.isTouchプロパティの追加。
• SpriteSheetクラスのコンストラクタに渡すdataの定めに、marginとspacingを追加。

作成者: 野中文雄
作成日: 2015年5月26日